- イキガミステイエス 魂は命を尽くさず、神は生を尽くさず。 (富士見ミステリー文庫 84-1)
- 沖永 融明
- 富士見書房 2008-04-19
あらすじ
生神とは、命の金融屋
命を貸して、命を取り立てる存在。
お金では無く、命を取り扱うその様子は命融とでもいうべきなのかもしれない。
生神・『イキガミ』という存在はただ単に死神みたく人に死を告げるのではなく、執行猶予・『ステイエス』を与え現世に未練を残さぬよう『命』を融資して、目的を果たし終えた未練なき崇高な『魂』を利潤としてを受け取る。
そんなどこか人間味の溢れた神様『イキガミ』と、
寿命を宣告された絵本作家『大吾』とその妹で白血病を患っていて余命いくばく無い『一樹』
の3者が織り成すお話です。
いや~凄まじかった
まるで “言葉”という武器で全身を武装したケモノ のような荒々しさを感じる作品でした。
論理だてた文体ながらも、とても荒々しくてどこか攻撃的だけども直接的な”想い”が伝わってきましたね~。
そして『イキガミ』の存在が、独特の倫理観と概念で裏づけされていて物語に厚みを醸し出していたと思います。
前半はどこか文章的な荒々しさが目立っていたのだけれど、後半の展開の流れの速さと危うさには息を呑みました。
目まぐるしく流れていく疾走感が爽快で一気にページが進む進む。
背筋が凍りつくような狂気と、危うい展開に一秒一秒浪費していく時間がとても惜しいものに感じられて大吾の『焦り』が心身に染み入るように強烈に伝わってきました。
後半の危うい展開も、実は中盤で示唆されていて一樹の霊能力が明らかになるシーンや”ロリコンさん”との掛け合いがとても良いヒントになっていたと思います。
この描写がしっかりとされていることでもしかすると――という”ある仮説”を立てることができたのもうまいなぁと感じさせられた要因のひとつですねぇ。
また、医学的な知識が随所にちりばめられていて著者の引き出しの深さににも驚かされます。
1988年生まれの方ということなのですが、僕もほぼ同じ世代なんですけどとても同じ世代の人とは思えない!
巻末の解説にもありますが、正に才能を感じさせますね~。
見所は
もちろん終盤の手に汗握る展開も見所なのですが、大吾と一樹のラブラブっぷりも見逃せない。
大吾が一樹を溺愛するきっかけとなったエピソードにはキュンときちゃいました。
そりゃぁ誰でも一撃ノックアウトですぜ?
ここに強烈なシスコンがひとり出来上がっちまったぜ。
妹いないですけど。
閑話休題。
魂が揺さぶられるような論理的な語句で装飾された荒々しい文章を 是非とも生で感じ取ってもらいたい。
これに尽きる。


















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