- Xトーク (電撃文庫 ら 4-6)
- 来楽 零
- アスキー・メディアワークス 2008-06-10
あらすじ
いや~面白かった
僕もこの手のお話は大好きなクチです。
何も考えずにただ感覚で背筋が凍りつくような寒さを味わうことができました。
怖い話といっても猟奇スプラッタもの * 1 は好きじゃないんですが、人間の心理というか『理由の伴わない狂気』って絶対に理解できないものだからこそとても興味深いなと思うんですよね。
本編は4つの短編から構成されているのですが、どの話も身に迫る狂気に疲弊して自我が崩壊するように認識力が低下していく点が共通していて追い詰められていく様子が見所でした。
どれもとても怖い話というわけではないんですが、じわじわと来ます。
怖いというよりもただ狂気、といったほうがしっくりくるかも。
ストーリーは、怪奇小説サイトのオフ会に参加した主人公がそれぞれ持ち寄った話を披露していく趣旨で話を聞いていくという流れで進んでいく……。
それでは軽くそれぞれの短編をなぞってみます。
クックロビンの埋葬
ピーターラビットの童話をなぞった、ミイラとりがミイラになってしまうようなお話です。
ごくありふれた日常の描写から突然、死体と暮らす男という非日常に引きずり込まれます。
やがて感覚は麻痺していき溶け込んでいくと同時に嫉妬の念に身を焦がし始める。
段々と疲弊していき妄想と現実の区別がつかなくなってきて――?
じわじわと迫ってくる終焉がゾクゾクときましたねぇ~。
身を焦がすような熱い思いが狂気へと変遷していく様子がすさまじいお話でした。
ヘッドハンティング
―ー夜、血の匂いを嗅ぎ付けて『首刈り』はやってくる。
そんな都市伝説を聞かされた融がその日塾の帰りに見たものは……。
自分の顔って鏡を見ない限り殆どみることはできないんですよね。
目から見える景色に映るのは辛うじて鼻の頭と伸びた前髪が見えるくらい?
そんな事実に改めて気づかされました。
そしてその鏡ですら顔を映さなくなってしまったら、一体人はどうなってしまうのだろう……そういったifがとても新鮮だったと思います。
融の憔悴していく様子が鮮烈に伝わってきて痛々しかったですねぇ。
『昼』と『夜』の二十生活がこれまた奇妙で首刈りの恐ろしさと狂気が不気味で不気味で……。
……それにしても救いがない物語でした。
子供たちの町
子供たちの包囲網って結構深く深く繋がっているものなんですよね。
伝承として伝わっている『なまはげ』を大人・子供の立場を入れ替えたようなお話です。
笑わない子供の不自然さが強烈でしたね~。
これもまた理由の伴わない狂気の一種だと思います。
理由の伴わない狂気というと実は2種類あって、本当に理由がないのかそれとも理由が見えないか――に分けられるのではないかと思うのです。
そしてこれは後者のほう。
意図が読み取れない無表情がそこしれない狂気を表していて最後の描写の強烈さはピカイチでした。
このシーンがこの本を通して僕が一番怖かった場面です。
七不思議の向こうで
学校によくある七不思議がテーマのお話。
真夜中の学校での肝試しを引き金に、七不思議の謎は後戻りできないところまで近づいてしまいます。
戦慄の発端はクラスメートの桜井の話。
それまで怪談の域をでなかった七不思議が急に命の吹き込まれた怪物のようにさし迫ってきます。
一つの不思議がまた次の不思議を呼び寄せてどんどん主人公の茜に『向こう』が近づいてくる――。
7つめを迎えるとこちらの世界に帰れなくなってしまうらしいと聞かされ、6つめを迎えてしまった茜は……。
これまた救いのないお話ですなぁ……。
関係ないですが、
桜井かわいいよ桜井。
ストライクゾーンをクリティカルにど真ん中に貫かれましたww
あぁこういうタイプの女の子大好きなんですw
ひそひそと茜とコンタクトをとりあう様子が秘めやかで美しかったです。
たまりませんなぁ。
そして……
after talk.
今までの短編で植えつけられた印象が伏線になっていて強烈に強い狂気の波がやってきましたねぇ~。
いや~本当に背筋がゾクりときた。
見事な締めくくり方でした。
個人的には『クックロビンの埋葬』が一番好きです。
日常に潜む狂気と寂しさと哀愁がなんともいえない雰囲気を醸し出していて4つの短編のなかでもどこかドラマチックな空気を演出していました。
こういうラノベもたまにはいいですねー。
- SAWシリーズは除くw あれは強烈なスプラッタモノですがちゃんとジグソーが理性と秩序もって行動していて被害者も戦略的に行動するので好きです。 [ ↩back ]


















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