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SHI-NO-シノ-空色の未来図 (富士見ミステリー文庫 76-8)
- 上月 雨音
- 富士見書房
「キミは絶対、ボクのことを好きになる!」出会ったばかりの高2の春、僕に宣戦布告してきた大薙詩葉。予知能力者を言い張るイタイ女だ、なんて思ったけれど、僕はまんまとしてやられた。その言葉どおり、彼女を好きになってしまったのだから。詩葉には、本当に見えていたのかもしれない。彼女の死後、詩葉の名を騙った誰かが今の僕を故郷に呼び戻すということまでも―。詩葉はもうこの世に居ない。自殺したのだ―と言われている。僕は、彼女の死ときちんと向き合うために故郷へ戻ってきた。今度ばかりは、志乃ちゃんの手を借りるわけにはいかない。僕が自分で、詩葉と決別するのだ。この先、志乃ちゃんと一緒に生きて行く為に。―って、あれ?志乃ちゃん!どうしてこんなところにっっっ!?大学生の僕と、小学生の志乃ちゃんとの純愛系ミステリー。
大切なのは、誰がどれだけ嘘をついているかということ。
本質的にはこの物語のそれほど重要なポイントではありませんが、推理ものとしてみれば一番大事なポイントです。
シノシノ出番少ないよぅ><と思えばまさかの「僕」が大立ち回りでした。いや~驚いた。
最初に登場する死者に振り回されるという構図も実に本格派ミステリーですな。
というわけで、今回は「僕」が主役のお話です。
僕の過去がテーマで高校時代の親友に元カノにその妹を中心とした過去の悔恨に纏わる事件で―― 正月に福岡に帰省した僕は自殺したクラスメイトで元カノ(のような関係だった)詩葉からの年賀状を受け取る。当然死者が送ってくるはずもなくその年賀状は過去の悔恨を受け継いだ事件の幕開けを意味していた ――。
志乃に頼ることなく、自分の力で解決しようと奔走する僕の姿が新鮮でむしろ志乃がいないほうが冴えてるんじゃないのというくらいの働きっぷりでした。
――――後々この理由は明らかになるわけですが。
僕は関係者であり探偵でありそして……。
詩葉の妹であることりと、その母琴恵さんの「確執」のキーとなる要因でもありますが、true or falseの0か1で二分できない要素が事件のエッセンスにもなっていて……簡単には推測できない展開がとても面白かった。
この辺りは単純な論理的思考で犯人を振り分けていく推理小説のセオリーとは違った味わいがありましたね。
しかし、それすらも実はすべて一本の線に繋がっていてもっと大きな構図が明らかになってくるとこれはもう脳汁がとまらない!
詩葉は間違いなく本物だ。
――卓越した論理的な構成力は、ある限定的な条件において未来予測に匹敵する。
これこそが、詩葉の未来予測の鍵であって同時に詩葉の政治的な駆け引きも素晴らしいものだったと思います。
特にそれぞれの思惑や利害関係からある構造――を見つけだしてレールを引いてしまう能力は凄まじい。
関係者の性格を見抜いて未来の行動まで予測してしまうのだからとんでもないです。
そして優秀すぎたからこそ彼女は死を選ぶしかなかった……。
彼女のビジョンに写った「僕」の姿は希望であり家族で、彼女の気持ちを考えると切ないですねぇ。
だって「僕」の未来の彼女にすら自分の心の女の子な部分をさらけ出しちゃうんだもんなぁ。
志乃が抱いた想い――心の中に生じた不明瞭なエラーの正体のことですね。
これは、お互いの卓越した論理的思考力を掌る思想が全く相反したものだから……ではないでしょうか。
詩葉:論理的な展開力+信じる心
志乃:完全なる客観性=論理の域を出ない。
端的に表すと――完全に客観的な視点で論理を展開していくからこそ不確定な要素を許容できない志乃と、論理的な展開力を持っていながらも信じる心によって不確定要素を許容し結果的に導いてしまう詩葉と説明することができます。
詩葉の思想は志乃のポリシーを大きく否定するものであり、同時に詩葉の圧倒的な「未来決定能力」も認識して認めている。
だからこそ志乃にとっては面白くないわけで……。
彼女の脳内での認識はきっとこうなんでしょうが――。
頭の良い人ってのは、一つの行動に複数の意味を持たせる事ができる
……というわけで、もうひとつの志乃が面白くない理由を考えると――ニヤニヤが止まりませんねぇ。
シノシノ可愛いなぁ。
星をつけるとすれば間違いなく五つ星ですね。
久しぶりに本格ロジックノベルを読んだような気がします。
そして物語りもいよいよ佳境へ……本作では主人公の内面に大きく言及したこともあって次回からはいよいよ物語の中核へ移行するようです。
まさしく富士見ミステリー最後の砦。
後半の謎解きは実に素晴らしくて――推測した展開のさらに上をいく真実に脳汁が出まくりでした。
ただシノシノファンからすると……若干志乃ちゃんの出番が少なかったかな。
それでもちゃんと見所は用意されています。
……くちっ。
あと最後に主張しておこう。
「児童性愛者(ロリコン)と貧乳好きはイコールではありません! 全く別物です!」
ちなみに僕は貧乳スキーですね。勿論可愛い少女も好きですが。

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