
- 阪急電車
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目次
あらすじ恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車……関西のローカル線を舞台に繰り広げられる、片道わずか15分の胸キュン物語。大ベストセ ラー『図書館戦争』シリーズの著者による傑作の連作集。
電車という一期一会、出会いと別れのストーリー「……じゃあ、斜度四十五度は禁止ね」
やや強引に指切りをさせて、やはり強引に話を変える。
「それよりさ、鳥居の件はどうなったの。付き合いはじめたときに勇気が出たって言ってなかった?」
「んー、それはもっと寝かせときたいかなぁ。何かもったいなくって」
何で、と訊くと美帆は笑った。
「付き合いはじめたきっかけだから。思い出すたび胸キュンだから、もうちょっととっておきたい謎だなあって」
圭一は口をへの字にして美帆を睨み、人差し指で軽く美帆の額を弾いた。
恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車……関西のローカル線を舞台に繰り広げられる、片道わずか15分の胸キュン物語。大ベストセ ラー『図書館戦争』シリーズの著者による傑作の連作集。
「……じゃあ、斜度四十五度は禁止ね」
やや強引に指切りをさせて、やはり強引に話を変える。
「それよりさ、鳥居の件はどうなったの。付き合いはじめたときに勇気が出たって言ってなかった?」
「んー、それはもっと寝かせときたいかなぁ。何かもったいなくって」
何で、と訊くと美帆は笑った。
「付き合いはじめたきっかけだから。思い出すたび胸キュンだから、もうちょっととっておきたい謎だなあって」
圭一は口をへの字にして美帆を睨み、人差し指で軽く美帆の額を弾いた。
なんという甘さ。
電車に乗っている最中前の人ってどんな人なんだろうとそれが美人な人や可愛い女の子だったりすると思いを馳せる ((ただ馳せているだけです。決してヘンタイではありません。))ことがありますが、それを飛躍したような阪急沿線で紡がれる出会いと別れのストーリーです。
ベタ甘と評される有川さんですが、話の性質上出会いと別れの起点を取り扱ったストーリーなので真ん中のニャンニャン部分は読者の妄想にお任せということもあってやや甘さ控えめ。それでも十分甘いですが。
乗客の一人が気に留めた、意味ありげな乗客の意識に視点は移り、その人が出会った人が電車に乗るとその人の視点に最初の人が写って……と転々と視点が移ってストーリーが紡がれていく様子がドラマチックでしたねぇ。
女の人ってこういう物の捕らえ方ができるのか~……、僕ではとても考え付かないような芯の通った強さが素晴らしい。
個人的には最初の出会いが強烈だった。
図書館で目当ての本を目の前で次々でかっさらっていく名前もしらない女の人。その人と帰り道電車の中で偶然(?)居合わせて会話が弾む、その人が降りた駅で思わず体が動いて降りてしまったという「恋の始まりの点」がキュンときた。
そのまるで去っていく背中に手を差し伸べる様子が堪らなくロマンチック。傍からみたらきっととてもニヤニヤものなんだろうなぁ。
そしてその光景を目撃してしまった結婚式の討ち入り帰りのOL。
これが強烈。
女の強さと弱さが濃縮されたような人でしたが、出会わしたおばあさんに思わぬ救いの言葉を差し伸べられ心のぬくもりを取り戻していく様子もとても良かった。
たぶんインパクトはこれが一番強い。
色恋沙汰で刺したり刺されたりがでてくるのもその気持ちの強さを考えるとあながち間違いではないのかなぁとも思う。
この人の理路整然とした明瞭な思考で紡がれていく強い感情が堪らなく胸をついてきましたねー。
あと、パンクな彼と垢抜けない彼女の大学生カップルも捨てがたい。
田舎育ち同士故の微笑ましい掛け合いが胸を擽る。
あ~甘酸っぱくて堪らないなぁ~。
頭では一応「大人なコト」は分かっているつもりなんでけれど、肝心なことがわかっていない彼女がとても可愛い。この破壊力は凶悪。出先で思い切りニヤニヤしてしまった。どうしてくれる。
一日の間にこれだけ起きたストーリーが半年の時を経て、また折り返される路線に紡がれていく後半も良かったですね~。
前半が事件編なら後半は解決編といった雰囲気。
その後どうなったのか……というストーリーが見えてきてより一層深みが増した気がします。
電車という中にこれだけの人がいると、人生の縮図のような色恋の起点、人生の起点、出会いの起点が濃縮されていているのだなぁと再認識させられた作品でした。
妄想がとまらない……。
おまけ
***
丁度この作品を読んでいたときのコトですが、印象に残るエピソードがあったのでちょっとだけお話おば。
これも一期一会という趣で。
外出先の喫茶店でこの本を読んでいたときの事。
ふと集中力が切れて顔を上げると一つ挟んで右隣の会話が耳に入ってきました。
しかし、なにか違和感。聞き耳をたてるのも趣味が悪いがちょっとだけ耳をすましてみることに。
すると内容はなんと英語……と思いきゃ日本語?
よく聞いてみると日本語の会話にもう一人の人が英語で相槌を打っていました。
そして英語で返されたやり取りに再び相槌をうって今度は日本語で会話を続けていく……。
つ、通じてる!いや~ちょっと感動した。会話のリズムは日本語のそれなんですが、日本語と英語で紡がれる会話にちょっと興味が沸きました。
本から目を上げて右手をちら見してみると、日本語で喋っていたほうの人は実年齢より老けていると言われそうな細身の管理職風のサラリーマン。服装はスーツ。ちょっと理知的。
英語で喋っていたほうは少々大柄の外人さん。白人で年齢は同じくらいに見えるんだけれど服装は何故かオタファッション風なオジさん。と少しギャップ。
雰囲気をみるとどうやらビジネスの話とかではなくて、ごく親しい友人のそれでまたまたびっくり。
話の内容も(聞き耳はたててないよ!)どうやら他愛のない世間話のようでなんだかほのぼのします。
お互いヒアリングはできるんだけど違う言語で喋るのは苦手。
ならいっそのことお互い母国語で話せばスムーズ!
というやりとりを体言したような感じだなぁーと妄想してしまいました。
そしてなによりお互い相手が聞き取り易いように気を使っているのが見て取れて、お互いを思いやっている様子がひしひしと伝わってくるのに萌えてしまった。
英語も中高生程度で習う語句を中心とした簡素な言い回しで、聞き取りやすいようゆっくりと丁寧に発音しているようでした。
ときどきカタコトの日本語を照れながら言ってみる様子がまた萌える。
あ~もう集中できん!
本に顔を向けながら15分くらい色々と妄想を展開してしまいました。
いや~実に和む。
本当に楽しそうなんですよね~。
二人はどういう関係なんだろうとか妄想したらキリがないんですが、とても微笑ましい夕方の喫茶店での光景でした。
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