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under 2 (2) (電撃文庫 せ 2-2)
- 瀬那 和章
- アスキー・メディアワークス
第14回電撃小説大賞<銀賞>受賞作、第2弾!
夜に紛れ、彼らは静かに扉を叩く。耳を傾けてはいけない。その声は、心を惑わせるから。決して、開けてはいけない。その手が差し出すのは、悲劇だけだから。彼らの名は『グリムザール』――異界の深淵を覗く者。
今夜もまた誰かが扉を開き、悲劇が一つ落とされた。
とあるオフィス街で起こったエレベーター乗客失踪事件。そして、その裏側で次々と殺害される“異界使い”たち……。
二つの事件が交錯し、異界の深淵へと至る通過儀式が始まる時、“反翼の魔女”が再び降臨する!
人はね、人であるということにさえ囚われなければ何にでもなれるんだよ
異界の最深部を目の当たりにする為の通過儀礼<イニシエイション>。
超絶的な能力を持った異界使いを生み出す実験の元で生まれた蘭不と歩夢、蘭不の過去に迫りその深いトラウマに歩夢は自身の姿を投影する――この二者のそれぞれの立ち位置から向き合う対話が印象的でした。
異界の強力な能力を手に入れるには自身のより深い部分を異界に繋ぎ止める必要があって、肉体のすべてを異界に堕としたことでそれを究極に体言した蘭不。その過程の中で紡がれた凄惨な過去が暴かれたお話でしたね。
蘭不が灯香を異常なまでに愛して執着する理由が分かる気がしたなぁ。憎らしいまでの羨望を裏返したそれを打ち消すほどの愛情。
こういう風に描かれることで俄然説得力が出てくる。
極限状態の中で、それらがすべて神楽坂への憎しみへと昇華したことが今の蘭不を形成する重要な要素になったのではないでしょうか。
灯香への「愛」と、神楽坂への「憎しみ」が生んだ愛憎劇の様相を呈していましたね~。
そんな暗闇の記憶の中にかすかに残った淡い記憶、束の間の灯香との思い出に痺れます。
「ちょっと、包帯まけないよぉ。お姉ちゃ」
言葉は、途中で途切れた。
傷だらけの少女が、唇を重ね、塞いでいた。姉妹の時間が止まる。
唇を離すと同時に、妹は、顔を真っ赤にして叫んだ。
「こんなの、へ、変だよっ」
「嫌い、か」
「そういうわけじゃ、ないけど、なんだか、恥ずかしいよ」
このやりとりをみていたらちょっと興奮してしまった。
蘭不の秘められた灯香への強い想いが「口づけ」という攻撃性として現れた貴重なシーンで、それを恥らいながらも甘んじて受け入れる灯香がまた印象的でとっても耽美なんですよね~。
二人の口からひいた細い糸が……(※妄想です。
ということは、蘭不がそうであるように灯香の「好き」という感情の一番はやはり蘭不なのかもしれないなぁ。
あわれ、唯人!!
まぁこの気持ちが唯人とのふれあいによってどう変遷していくのかが楽しみなんですが……。
俺は、君と一緒に笑っていたくて、異界使いになったんだ
前巻ではあれだけ無力で空気だった唯人ですが、自分の中の答えをしっかりと見つけて成長していく姿が眩しかった。
ノインと一心同体で戦う姿は前半のヘタレっぷりが嘘のような活躍で手に汗に握る熱いバトルに心が奮い立たされました。
これでこそ主人公。
誰かのために自分の身を危険に置く理由って突き詰めていくととても単純明快なんですよね~。
唯人が灯香の傍にいるために支払った代償の大きさが想いの強さを表していますね。
こんなにも強く自分を見つめなおした唯人が3巻でまたヘタレるんじゃないかと心配なのは秘密です。
そして、密かに違った一面の描かれたレムが可愛かったなぁ~。
こうしてみるとレムの口の悪さも、とてつもなく不器用なものに見えてくるから身悶える。あぁレム可愛いよレム。熱々のたこ焼きを頬っぺたに押し付けられたい…。
同時進行する2つエピソードから、それぞれの登場人物が胸に思い描いたモノに立ちはだかる通過儀礼を乗り越えていく様子が見所です。
いや~実に面白かった。
1巻で詳細に世界観を作りこまれていたこともあって、2巻では揺るがない安定感を感じました。
2つの切り口から語られるエピソードもバランスが良く、危なげない展開に安心します。
できることとできないことがはっきりと描写されているのも好印象ですね。
単純に力勝負がルールのバトルも、うまく工夫されていてラストシーンまで引き込まれるような面白さがありました。
おそらく1巻ではバランスの悪かったバトルシーンが見直されて、造りの緻密さが光ったような印象なのではないでしょうか。
ただ、気になるのはここから先何巻も続くようなお話には見えないことですかね。
この巻で魔女の核心に触れたことによってどう物語が広がっていくのか見えてこないことが心配でもあります。
安定した筆力でどう物語が紡がれていくのかが楽しみです。
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