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スイーツ! (集英社スーパーダッシュ文庫 し 4-1)
- しなな 泰之
- 集英社
狛犬が爆発した。その中から現れた少女・麻衣と出会った高校生・章輔は、思春期の少女にありがちな超常能力『スイーツ』をめぐる事件に挑むことに。従姉妹の伊乃や先輩の千代も巻き込んさ冒険が始まる!!
第7回SD小説新人賞佳作受賞作。
――――魔獣(いやらしい妄想)、胎動(全開)――!
とりあえず主人公の章輔は ファールカップをつけておけば、さくっとまるっと万事こともなしに問題解決 なんじゃないかな。
事あるごとに劣情を懐いて自己嫌悪する卑屈な主人公に嫌気が差しつつ読み進んでいたんですが、まさかというか予想外にも最後はいいお話だったじゃありませんか。……ちょっとグラっときたよ。
蓋を開けてみるとなかなかに後味のいい読後感で、女の子の秘密のキモチを描いた本作でしたが――どちらかというとどうしようもなく純情な男の子のキモチを描いた作品だったのではないでしょうか。
あれだけ卑屈だった章輔は、本人も気づいていないもののその卑屈さは本人の女の子への無償の思いやりと優しさからくるものなんですよね。
女の子の白い足を見て劣情を懐くなど日常茶飯事で、脳内で衣服を取り払ってみたりあられもない姿を妄想するくらい何も恥じることのない行いで健全な男子なら当たり前のことです。
それなのに一々自己嫌悪して卑屈に捉え、ネガティブな考えに浸っていく様子がどうしても鬱陶しいことこの上なかったのですが、章輔の考え方に基づいた上での振舞いだと明らかになることでなんだかしんみりとさせられましたね。
そこはかとなくいい奴じゃないか。
自分を卑しめることでしか、麻衣を想い彼女の壮絶なトラウマを受け止めることができなかった不器用さが自分自身を振り返ることで報われた素敵なラストシーンでしたね。
折角お互いの本音をぶつけ合うことができたのに、どうしようもなく切ないないなぁ。
しかしながら自信を持つことで、前向きにアグレッシブな行動力を見せ付けてくれた章輔の姿が素敵でした。
カッコ笑いを付けたくなるくらいには……一般的に普及したスイーツという言葉ですが、スラング的な意味合いはかけらもないただ純情で素敵なsweetsなキモチを描いたお話でした。
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