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MA棋してる!(1) (富士見ファンタジア文庫 み 2-1-1)
- 三浦 良
- 富士見書房
「これは、賭け」撃ち込まれた魔法の弾が耳元で風を切る中、そのオカメインコは、はっきりとした日本語で少女に告げた。「奏がちゃんと構築できれば、奏だけのオリジナル魔法手続きができる。できなかったら—もう魔法は使えない」奏と呼ばれた少女は頷いた。ルールがあって、縛りがあって、真っ白に戻せる魔法の仕組み。奏には一つだけ心当たりがあった。幼いころから慣れ親しんできた、将棋。将棋がわたしを助けてくれる。異世界の王位決定戦に巻き込まれた小学生・奏が、大好きな将棋のルールで友達を守り抜く!友情と戦略の異種魔法バトル、開局。
「何、それ?」
「何って」
奏はぽりっと一かじりして答えた。
「べったら漬け」
ん~~~~~~~~~~♡
もう奏がほんっとううに可愛くてお兄さんニヤけっぱなしでしたよ?
将棋少女という超少数派の特殊属性に確実に心を奪われつつありますね。
それにしても、この奏という女の子、小学5年生にしてこの明瞭な思考と冷静な落ち着きっぷりに感服してしまいました。この幼げな容姿と知的な風貌のギャップが素晴らしいですなぁ。
異能魔法バトルの題材になっているのは体系的に積み重ねられた魔法術ではなく、個人の一存で展開できる独自の魔法というのが目新しくて特徴的でしたね。ルールに矛盾しない範囲で想像力を元に体系づけて拡張していけるというのもこれまた妙味です。
しかし、それ以外は気持ちいいまでに魔法少女モノのテンプレ。将棋魔法と銘は打たれていますが、体系付けられた将棋魔法を元にして展開していく世界観ではなくて、あくまで主人公である奏の魔法モチーフにすぎないというわけですね。
今回ライバルとして出てきた少女、無口だけど大人っぽい可憐さが印象的な咲の魔法モチーフはC++。
C++とはいっても実際の使用レベルでは簡単な関数をいくつか用意して、状況に応じて使い分けるスクリプト言語的な使い方が印象的だったかな。あくまで武器としての魔法でしかなくて、戦略性では難アリ。
まぁ、いい意味でも悪い意味でもモチーフ止まりなんですが、その即効性と攻撃力は中々のもので経験の極めて浅い奏には純粋な脅威。
対する奏のほうは、即興でイメージした魔法体系が将棋だったということもありその緻密さと精巧さは初心者離れしていましたねぇ。将棋という性質上、立ち上がりはかなり遅いんだけれど、その戦略の緻密さは特筆すべきものがあってデフォルトで濃密な試合運びができる強みがありました。
咲が勢いで嗾ける奇襲タイプなら、奏は綿密に張り巡らされた仕掛けを元に試合展開を掌握していく強襲タイプ。
相手が一撃でしとめ切れなかった場合には、長期戦にもつれ込むにつれどんどんその強さを増していく性質が妙味でしたな。
将棋を元に魔法を展開していくのが自分のみなら、こういう場合はどうするんだろうという疑問はしっかりと描写されており、うまく抜け道を見つけ出すことでちゃんと戦術魔法として機能しています。
これはいい意味でモチーフ。
独自に生み出された魔法を元に、決死の戦いを繰り広げていく魔法少女たちの姿がとても眩しかったです。
どちらも、大いに成長する要素を含んでいてどう高度な術を会得していくのか非常に楽しみ。でも、体は成長しないで。
二人の必死に杖を振るう姿がほんっとうううに可愛らしくて、是非とも王位継承者として立候補したいと思ったのでした。
もしくは、魔法を発動した二人の間に割り込んで、盛大に打ちのめされたい。あぁ、少女たちが可愛すぎて失神しそうだよぉ。
奏とソフィの出会いから見ると、当事者自体も自体を把握していない完全な巻き込まれストーリーだったんですが、決意を秘めた奏が格好良かったなぁ。この信頼関係は何気に結構熱い。一見、いい加減でずる賢いソフィなんだけど、その内面はお互いしっかりと理解していて、それぞれの個性がうまくお互いをカバーしている絶妙なバランス感覚でしたね。このコンビも大好きだなぁ。
いや~面白かった。 隅々の細かい部分まで丁寧に描写されていて、非常に安定したストーリー運びでした。ただ、ひとつ気になることを挙げるとすれば、その性質上バトルシーンのみが物語の重要なポイントになってしまっていてその他の構成要素がちょっと弱い気がした所かな。まぁ、でもこれは追々語られていくことでしょう。
世界観と魔法の二つの設定に於いて、それぞれ相対する世界と魔法術がライバル的に描かれる――この見せ方の対比がとても印象的な作品でした。
これはまた楽しみなシリーズがひとつ増えたなぁ。
富士見ファンタジアはどちらかというと個人的に苦手な作風の作品が多いなと感じていたんですが、この異能バトルなら楽しめる。
とりあえず奏の笑顔だけでご飯3杯はイケます。ん~♡
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