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超自宅警備少女ちのり (GA文庫)
- 小幡 休彌
- ソフトバンククリエイティブ
天下無双の自宅警備員、推参!!
お隣に住む同級生は「地底人からの自宅警備」を自称する、ちょっとヤバめなヒキコモリ少女だった!?
「自宅警備って、あの何から……?」
「いろいろ。今は、主に地底人」
ごく平凡な日常を送っていた高校生・瀧口譲の人生はその日一変した。
お隣に住む同級生、梅木ちのりに学校のプリントを届けに行っただけなのに、出てきたのは小汚い下着姿で、自宅警備員を自称するちょっとヤバめのヒキコモリ少女。
だが、梅木家内で謎の通路に落っこちた譲が放り出された先には、広大な地下空間が拡がっていた!? 突然現れる巨大な戦闘機械、そこに駆けつける、謎のプロテクターに身を包んだ少女・ちのり。えっ、あの話ってマジだったの!? はた迷惑なヒキコモリ少女が巻き起こす、超巨大なドタバコメディ旋風!
自分の引きこもる場所くらいなあ、自分の手でこしらえて、自分で守れってんだ!
***
うはー、冒頭の台詞が身にしみます。
自宅警備という世間から後ろ指差されるような不肖に、文字通り地底人の侵略から自宅の警備という大義名分を得たものの……ちのり、普通にダメ人間じゃないですか。
うーんと、巨大掲示板をコテハンで荒らしたり、PTPウイルスで流失したファイルを一日オチしたり、ネットゲームでチートして手に入れたレアアイテムを高値で売りさばいたりしてるよ
そして実の妹の姉に対する認識も
ヒキコモリで、暗黒思考で、アニメオタクで、コスプレマニアで。ネットゲーム中毒で、やおいも百合もショタもロリも見境なしの変態で、家事能力ゼロで、人見知りで、偏食で、ワガママで……
とこんな感じ。いっそすがすがしいまでのダメっぷり。
いや~なんというかちのりさんとは気が合いそうです。
出席日数足りずにダブっているから、主人公の譲とはクラスメイトながら1歳年上のお姉さんなんだけど、これは年上ダメ属性には堪らないかも。 * 1
年上のダメなお姉さん大好きな人にはゾクゾク来るんじゃないかな?
人物描写に関しては、何故こうもいきなり譲にべったりなのか分かりませんし、ちのりのライバル(?)碧子お嬢さんもちょっと優しくされるだけで譲きゅんにメロメロとツッコみどころ満載なんですよね~。
しかしながら、いかにもラノベ的な薄い人物描写に感じるものの……ちのりのダメっぷりだけは妙にリアルでなんともいえない不思議な感覚を醸し出していたのでないかと思います。
そう思いながらも、最低限重要なことは押さえていたと思うので僕は特に細かいことは気にならないかな~。
つまるところ、身も蓋も無い言い方をするとこのお話はちのりと碧子の痴話ゲンカなのだな。
「自分探しと言い訳しつつ 家は空けないニート誇り
世間に出たとてこのヘタレ どうせお役にゃ立てません
近所の白い目つらいけど 自宅警備は大真面目
天下御免の内弁慶 守ってみせます夢の城
超自宅警備員ちのりちゃん、今ここに、大 復 活!」
乙女なちのりと碧子の、譲をかけた地球争奪戦が今幕を開ける!
流れるような超展開は正しくジェットコースターノベルだったなぁ。
周囲の人々、町内全域、はたまた地球の命運を賭けた壮大な痴話ゲンカがなんともダメオーラ全開でつっぱしっていました。
だけども巻き込まれたほうはたまったもんじゃないんですけれども。
***
- 何故、ちのりが引きこもり、怠惰な生活を送るようになったのか。
- 何故、碧子はこんなにも我侭お嬢様に育ってしまったのか。
根幹にあるところは「寂しさ」という点で共通しているんですよね。
だからこそ、 弱い部分を突かれるとこんなにも脆い。
ちのりは自らの弱い心を突かれて温い快楽に堕落し、碧子は自分を真正面から見てくれた譲に依存する。
だけれども、自分の弱さに自覚的になれるのならば真正面から受け止めてみてもいいんだということに二人とも気づけたんじゃないかなぁ。
だからこそ、女の意地を賭けた譲争奪戦は燃え上がる!
そうして真正面からぶつかり合った結果が、最後まで二人らしすぎてなんだかなぁ~と思いながらもニヤニヤがとまらないのでした。
あぁ、みんな平和だなぁ! すべて世は事もなし。
譲のポジションは、みんなの心の開いた隙間を埋める潤滑油ような役割をしていたのではないでしょうか。なんというか、この作品のテーマは個々の心情の変化と複合的な配偶者との繋がりを描いていて、集約すると「家族愛」なのかもしれない。
譲といえば、何でこんなにモテモテなのか最初は心底疑問だったのですが、さりげない仕草にモテオーラを放っていてお兄さんヘコみました。
さり気なくちのりに気をつかったり、流れるような自然さで碧子をエスコートしたり、自然な仕草でふらっと髪型を褒めたりできちゃうんだもんなぁ~。
なんというかそのイケメンっぷりに嫉妬。
いろいろ思うところは多い作品でしたが、エンターテイメントとしては素直に面白かったです。
特に、年上のダメなお姉さんが好きな人は身悶えるかも。
そして、この作品に決定的に足りないもの――それは、ツッコみだったのです。
ツッコみ役は画面の前のあなた、もしくは本書をお手に取ったあなたですよ! そうして欠けたピースは埋められ、この物語は完全なものとなるのです。
彼女たち二人の欠けたピースを埋めた譲のように、あなたもこの物語のピースを埋めてみませんか?
- その変態っぷりも大好きです。言葉攻めにゾクゾクきているドマゾなところとかガチ過ぎて興奮してしまいました。こりゃあ僕ならミイラとりがミイラになっちゃうなぁ。 [ ↩back ]
- ラノベ365日: 超自宅警備少女ちのり/小幡休彌
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