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俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫)
- 伏見 つかさ
- アスキーメディアワークス2008-12-05
冷戦関係にあった妹・桐乃からとんでもない秘密をカミングアウトされ、ガラにもなく相談に乗ってやる―という思い出したくもない出来事からしばらく経つが、俺たち兄妹の冷めた関係は変わりゃしなかった。ところが“人生相談”はまだ続くらしく、「エロゲー速攻クリアしろ」だの「不快にした責任とりなさい」(どうしろと?)だの見下し態度全開で言ってくるからマジで勘弁して欲しい。誰だこんな女を「可愛い」なんて言う奴は?でまあ今回俺に下った指令は「夏の想い出」作り(?)。どうも都内某所で開催される、なんたらとかいう祭りに連れてけってことらしいんだが…。
「実はさ……麻奈美のことなんだよ」
「ああ。実はさ……なんか、最近、あいつの様子がおかしくて……」
(中略)
「で、さ。それで……」
「ふーん。……いまのとこ、ちょっと巻き戻して」
(中略)
「……というわけなんだが……どう思う?」
「死ねばいいと思うよ」
妹桐乃の人生相談から転じて、今度は兄貴の京介が桐乃に人生相談をお願いするというお話です。
……と見せかけて、他にも今回はピチピチの女子中学生が大量に家に遊びにきたり、聡い人には夏の祭典と聞いただけでピンとくる夏コミという戦地に赴いたり、麻奈美とのほのぼのショートストーリーを描いた俺妹シリーズ第二段。
もうなんというかマゾいよお兄ちゃん! 前回の一件から足踏み外し過ぎて坂を転げ落ちるようなスピードでオタクへの道を突き進んでいく兄貴が面白すぎます。
とりあえず、ネタバレなしのセクションとネタバレありのセクションに分けてお送り致します。
あれから後日談的に京介がオタライフに傾倒していく様子が語られるんですが、もうこれが面白すぎるの。オタライフと PC は切っても切れない関係なのだけど、 PC 操作にいまいち感覚を掴みきれていない京介に、あんたバカじゃないのと桐乃が京介の検索した恥ずかしい検索語句やエロサイトのサーフ履歴を指摘するという至極の恥ずかし攻めに顔真っ赤になってうろたえる京介が可愛いんだよなぁ。
こんなやりとりが面白すぎて堪りません。
今回は諸事情により、実在サイトへのリンクは貼れません(カ●ビアンとか……カ●ビアンとか……カ●ビアンとか……大事なことなので3回言いました)
京介よ、こうやって人は進化していくのだ。エロい人が卓越した PC スキルを発揮するのは、こうした恥ずかしい黒歴史を糧に猛勉強するからなんですよね。
そうして動画コーデックの基礎知識やwebサイトの裏側を学ぶ内にサイト製作スキルが備わってきてようやく
『エロ動画はエロサイトで落とすものではない』
という無我の境地へとたどり着けるのです。
これはもうカップルだよなぁ。
初々しい二人のやりとりに、胸がきゅんきゅんしちゃいます。周囲公認カップル状態の二人なのだけど、それでも恋人という関係にはどちらも無頓着でほわほわした幼馴染を続けているんですよね。でも絶対どちらも大好きでしょ?
ペースに引き込まれるという意味では、かなり特殊な形だけど麻奈美も引っ張っていってくれる娘なのかもしれませんね。
そんな二人が些細なきっかけで仲違いを起こしてしまう。
あわてて対策しようとするも時遅し、京介は桐乃に人生相談を持ちかけるが……。
これは単純にコミケットという習慣の初心者講義的な一面が強かったかな。素直にエンターテイメントに特化していたと思います。元非オタで現エロゲーマーの京介の視点で語られることによって、コミケの独特の空気感が臨場感たっぷりに伝わってきます。
島中がエロ同人誌ばっかりなのは三日目の東館だからだよ!!!
と盛大にツッコみを入れたくなったのは秘密です。別世界のソルジャーですいません(3日間ぶっ通しで朝から行く人)。
やっぱり僕も島で委託のなさそうなサークルさん郡から掘り出しモノを探しにいくのが好きだなぁ。かなりのマイナージャンル好きなのでこればかりは仕方ない。大手の壁サークルや企業ブースで並ばないなら7時ちょっと前着でも十分回れると思います。多分これが一番楽。
沙織さんや黒猫さんたちと回っていく様子が楽しいなぁ~。そしておなじみ黒猫さんの厨二病炸裂っぷりも楽しすぎます。というか、
黒猫さんが普通に可愛いんですけど!
うは~ん、ツンツンっぷりが可愛いなぁ。ほっぺたをぷにぷにつついてみたい。
そうして楽しいお祭り騒ぎは夏の祭典と共に幕を下ろしたのですが……。
以下ネタバレへと続きます。
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫)
- 伏見 つかさ
- アスキーメディアワークス2008-12-05
あんたのことも、エロゲーと同じくらい好き!!
前回が親バレならば、今回は親友バレ編でした。
序盤に家に遊びにきた桐乃の友達、あやせに桐乃の趣味がバレてしまいます。
……ごめんなさい。わたし、そういう人とは今後お付き合いできません。……高坂さん。お願いですから、もう学校でも話しかけないでくださいね――
これは辛いよなぁ。恐れていた最悪の事態が起こってしまう。これを恐れていたから桐乃は学校の友人たちに趣味を打ち明けられなかったんだろうなぁ。
しかしながら、これがあやせの内面だけで完結するお話ではなくて、メディアのオタク叩きに代表されるオタク論争という題材を巻き込むから一筋縄ではいかない。
でもやっぱりあやせの中で根本的に渦巻いているのはオタクへの『生理的嫌悪感』なのだな。
それを、親がPTAの会長を務めているという背景から、メディアのオタク論争や児童ポルノ関連法案に関する知識をとりいれて女子中学生なりに理論武装しているんです。
これは一見、筋の通った主張に見えます。そして、現に世論としては通ってしまう。
だけれども、所詮あやせの主張は他人の言葉を借りただけであり、自分の言葉で思想を語っているわけではないので鋭いところを指摘されると綻びができてしまうんですよね。
ここで重要になってくるのが、アニメ・ゲーム・その他諸々の「影響力」という点に触れていないことと、それを消費する個人のモラルについてなのです。
だから京介は
『桐乃がそういう趣味をもっているからといって、おまえは桐乃が犯罪を犯すと思うのか?』
と切り返すべきであった。その根拠を「影響力」や「モラル」というキーワードをちりばめていけば言葉だけでも説明することができたんじゃないかと思います。
要は、メディアのオタク叩きで何が重要なのかというと、オタクに関して論じているのではなくて、世論を動かす材料にされているだけ、ということなんですよね。
だから、都合の悪い視点は暈されるし、論じられない。
オタクというコミュニティにおいては、個人がモラルを尊重することで現実と妄想とを頭の中で区別するという習慣ができている。
これはオタクであれば誰でも知っていることで、普通に考えても当たり前のことなんだけど、この認識はまだまだ一般の人には浸透していない。だから、この点を暈せばただ悪い部分のみが浮かび上がってくるというわけですね。
これを、あやせに説明することが兄としての京介の役割でした。
それを突き通す材料となったのは以外なものだったなぁ。まさか、ここで親父さんが絡んでくるとは。
いや~本当に不覚としかいいようがないのだけど、「偶然だが……」といちいち注釈をつける親父さんに萌えてしまった。なんというツンデレ!!! もうまったく……くやしいなぁもう! ビクビクン!
この本は”俺の親父がこんなに可愛いわけがない”にさっさと改題するべき。
閑話休題。
親父の出してきた決定的な材料によってなんとかあやせに説明することができた京介。だからこそ、このシーンは結構危ういんですよね。
そうして納得したあやせなのだけど……やっぱり胸の内に深く宿した生理的嫌悪はそう消えないよなぁ。
理論武装された余計な部分がそぎ落とされたことにより、あやせの内面が見えてきました。
あやせが桐乃を許せない理由、それは桐乃の多面性が許容できないからなんじゃないかな。
おそらくあやせはとても真っ直ぐで真面目な娘なのでしょう。だから、オタ趣味みたいなものを好む自分が想像できないし、同時にそういう一面を人が持っていることも想像することができない。
その人を構成する一部分として考えられないからこそ、オタ趣味に傾倒する桐乃=偽者の桐乃になってしまったんじゃないかと思います。
そしてもうひとつ、あやせには他人に強く自分を認めてもらいたいという欲求がある。この強さがあやせの異常なまでの執着に表れている。これが先ほどの心理と結びついて、自らが裏切られたと感じてしまったのでしょう。
桐乃がオタ趣味を肯定することは、あやせ自身を否定することになるから。
オタ趣味を桐乃の一面として捉えることができず、全くの別物であるひとつのファクターとして捉えてしまうから自分とオタ趣味を比べる、という構図ができてしまうわけですね。
こうしてみると、結構複雑に絡み合ってみえるのですが、いまどきの女子中学生としてみれば結構普通なことなんじゃないかなぁ。
だけれども、あやせのどこか潔癖症すぎるところが融通の利かなさになってしまうのですよね。
そうしてすべて明かされてしまっても、それでも折れることができないからただ泣くだけしかなくなってしまう……。ずるいよなぁ女子中学生に泣かれてしまっては勝てないよなぁ。
これはもう京介が共通敵になって二人の直接的な矢印の矛先をそらしてしまうしかない。
と思ったら本当にやりやがったーーーーーーー!
俺はなぁ――妹が、大ッッ……好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――っ!
これは流石にどうかと思います。いや、普通に妹大好きシスコン野郎なのは伝わってくるよ? でも平日の公園でこの絶叫は流石に引くよなぁ。お兄ちゃんマゾいよぉ!
なんか最近京介のキレ芸が板についてきたような気がしてなりません。
というわけで、やはりどこまでいっても俺妹シリーズでした、というオチでした。いやはや、このシリーズに出てくる人たちは揃いも揃ってツンデレすぎる。いや~やっぱり凄まじいなぁ。
今回は特に 読むまですっかりその存在を忘れていた 麻奈美が可愛かったと思います。あぁ、デートどこ行くっていったら「公園いこう?」って言ってくれるのとかたまらんわぁ。こういう女の子大好き。僕もこういったまったりしたお付き合いのほうが好きなので。
名前忘れててゴメンね! 僕も田村さん家のお婿さんにしてください!
はてさて、このシリーズまだまだ続き出るみたいだけどどうなるのかなぁ。順当に考えると、親バレと友人バレをすでに終えてしまったからもうバレる相手がいないぞ!?
考えられるとしたら彼氏バレ? そんなのヤダよぉ。というわけで次はそろそろ新しいネタがないとマンネリ化しそうなこのシリーズ、次が勝負なのではないかと思います。
今回も序盤は若干冗長だったしなぁ。だけれども、後半の巻き返しは熱血展開で面白かったです。
コミカライズも決定し、順調に波にのりつつある俺妹シリーズ。次回も同じく期待してみたい。

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