とらドラ! #11 大橋高校文化祭【前編】

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大河に見た、父親の影。

いやはや、クラス一のアホな人春田が大活躍!

やっぱり春田は面白すぎるなぁ~。季節も移り、秋風も舞う頃には完全な学園祭シーズン。一日開催の学園祭を盛り上げるべく、クラス展示の内容を議論する一同でしたが……。

春田を中心に秘かなるコスプレ喫茶の野望が暗躍するものの――C組男子の健闘空しく、独身(30)のもう完全な私怨によりプロレス(ガチ)に決まってしまうのだった!!

というわけで、ワイワイ楽しく学園祭モードへと移りゆく一方、とらドラ!というお話の主軸となる大河の家庭環境へと視点は移ります。

今日のお話の演出はなかなかよかったんじゃないかなぁ。

特に過不足なく、このシーンで伝えられるべく描かれたメッセージはしっかりと僕の胸に届いてきました。

なんというかね、大河のお父さんの真摯さが凄く伝わってくるの。

こりゃあ竜児が盲目的に逢坂父の言葉を信じてもおかしくないんですよね。それくらい、真剣に語られた竜児へのメッセージ。説得力を帯びたその言葉は、娘とやり直したいんだという切実なる願いをただ痛烈に訴えかけるようでもありましたね。

確かに大河を呼び出す方法としては、卑怯でよくない方法だった。

だけれども、その想いに迷いはないのだよ、と。

そうして逢坂父のメッセージを胸にしたためて大河へと伝えようとする竜児でしたが……。

大河に刻まれた心の傷はそんな言葉では覆らないほどに深く刻まれていたのだ。

いやはや、よくよく考えるとこの大河の態度は異常なんですよ。頑なに父親を拒絶するその様子は、思春期からくる反抗的な態度とかそういうものでは全くない。大河の表情を見ていると、その間の関係に大きな断絶を感じさせるのは想像に容易いのです。

そしてそれは、本質的にちょっとした間違いとかそういう問題ではなくて生理的な嫌悪とか、そういう類のものなのではないかと思います。

だとすると、逢坂父の真摯な態度は矛盾するんだ。

こんなに爽やかに、いっそうそ臭いまでに真摯なその態度には何か裏がある、と。こう竜児は考えるべきだった。あの父親がこれだけ真摯な態度で大河に接していたならば、この断絶は起こりえなかったと考えるほうが自然なのです。何故なら、この大河の嫌悪感はどこか異常で狂気じみているのだから。

その裏に親子の断絶を許した”何か”があった、と考えを張り巡らせるべきだったんですよね。

この”何か”の存在が、後々に違和感として竜児を苛むことになります。

このいやな予感ともいうべき違和感は、とらドラ!という物語に置いては必ず悪い方向へと転ぶファクターになるんです、それも例外なしに。

そして、この違和感にこの時竜児は気づいている。だけれども、その考えを許さなかったのが

大河の中に見た、父親の面影。

図らずにもさらけ出してしまったそれは、竜児の心の傷でもあるんですよね。その隠し切れなかった傷が、父親の存在という幻影を照らし出し、盲目的に父親とはこういうものなのだという根拠のない……悪くいえば全く妄想でしかないそれをどこか無意識に肯定していたのだ。

だから、妄信的に大河に言い寄った。父親と復縁しろと。

そして唐突にも竜児の深い傷を見てしまった大河は、少しだけ……ほんの少しだけ、今まで頑なに閉ざしてきた心の扉を開けてしまうんですよね。

それは決して悪いことではないのでしょう。

しかし、本当に問題だったのは、父親に期待を抱いてしまうこと。これがこの関係性におけるタブーなんです。親子の絆の断絶を許した原因の解決なしに、親子の共存はありえない。

だからこそこの展開は非常に危ういのだ。

そんな綱渡りのような親子の距離の取り合いの幕を部外者という立場で開けてしまった竜児。

掻き立てるような不安感が、よりストレートに表現されていてこのシーンの演出には舌を巻いてしまいましたよ。

原作よりもより直接的に、この危うさが醸し出されていたような気がします。伝えるべきことがうまく抽出されてシェイプアップされていましたね。だから今回の演出は個人的に非常に良かったのではないかと思います。

こうしてとらドラ!という物語が抱えた傷の深さを少しずつ切り取っていく。

次回はきっと波乱だよなぁ~。今日の回を含め、3回使って文化祭編を描ききるようです。これでとりあえず1クール目の区切りかな。とらドラ!でも非常に印象深いこのエピソード。それがどう料理されていくのか非常に楽しみです。

とらドラ! 5 (5) (電撃文庫 た 20-8)
とらドラ! 5 (5) (電撃文庫 た 20-8)
竹宮 ゆゆこ
アスキー・メディアワークス

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Itary亜人:ラノベと深夜アニメが主食の装飾系(webデザイン趣向的な意味で)ヘタレ男子。
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