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電脳幽戯 クワイエットボイス (講談社X文庫―ホワイトハート)
- 真名月 由美
- 講談社
探偵業を営む鷺浦悠人(さぎうら ゆうと)は、ある青年の死を調査中に「Foolish Children」というウェブサイトを発見する。それは命をかけるゲーム。屍鬼という化け物を操り、人を襲わせることができるのだ。
ゲームに参加するハメになった女子高生・都薙緋真(となぎ ひさな)を、縁あって助けた鷺浦。ゲームによる制裁がつぎつぎに行われる中、緋真が新たな敵に襲われるのだが……。迫りくる恐怖に、アナタは耐えられるか!?
やっぱり私、あの人たちがしてることが悪だとは思えない
いやはや、こう切り込んできましたか。悪事に手を染めてきた犯罪者を殺すことは果たして悪なのだろうか。それはとても純然たる正義に基づいた制裁なのではないか。少なくとも私はそうとは思わない、と緋真が主張するのも無理はないかなぁ。
1巻でもその存在感を匂わせてきたオグマが、独善的制裁と称して5人を殺害したことからこのテーマは広がりをみせます。緋真の中に広がる疑問。どうして悪い人を殺してはいけないの? という問いが実際にその命運を左右する力を手に入れたことによって浮き彫りになってくるんですよね。
正義を以って制裁する。この正義はどこからくるのかというと、これはとても独りよがりな理由なのですよね。その根底に来るものは、劣等感からくる歪んだ物差し。自分の価値を高めるためだけに他者を見下し、相対的に自分を高める。自分は清くて尊いのだ、という思い込みが歪んだ正義感を形成する。
加害者にも事を及ぶに至った事情があって、ただ危うい人と加害者の狭間にあるのは「罪を犯した結果」があるかどうかの違いなんじゃないかなぁと思います。
勿論それは許されないことなのだけど、罪を償い刑期を全うするという選択肢を許容しないから排除しようとするのでしょう。
確かに、どうみても割りにあわない軽い「罰」は存在するのかもしれない。だけれども、死を持って償うのだけは違うんじゃないかな。
結局のところ、こうして独善的な裁判官を裁く、という構図が生まれてしまうのだな。
Foolish Childrenでの殺人ゲームに潜んだ、人間の死というテーマに切り込んできた2巻でした。
いや~みちがえるほど面白くなったぞ。1巻では物足りないと書きましたが(→ [読了]電脳幽戯 ゴーストタッチ )、こういう方向に進んで欲しかったのだ。
1巻だけではただのデスノートリスペクトな作品なのか判断がつきませんでしたが、いよいよ作風が固まってきたような気がします。
不条理モノのそれであるゲーム自体の「ルール」と、それを元に緋真と鷺浦が行動していく「戦略」とが明確に分断されているので、物語が破綻することなく安心して読むことができます。
淡々と進んでいく、推理モノをモチーフとした淡白な展開が、読者の推理を妨げません。
だけれども、あくまで推理小説ではなくてモチーフと表現したのは、殺人事件を元に犯人を推理していくという構図をとらないからなんですよね。
推理小説の常として、犯人が明確にヒントを以って登場することはありません。最後の決戦まで正体はわからない、それでもこの作品が成立するのは、緋真と鷺浦という探偵自らが事件の当事者だから。
殺人事件が起きてから、つまり「事後」から遡って犯人を推測していく――という過程を経るのではなく、現在進行形で「探偵」が被害者という形で物語が進んでいくのです。
つまり殺されるか殺されないかはターゲットであり、被害者である探偵次第なのです。
この手に汗握る臨場感と、焦燥を掻き立てるシーン描写が非常に巧い。
だからこれは推理小説ではないのだ。
推理モノという要素を散りばめた異能バトルモノ、というわけです。
探偵自体が当事者となり、被害者となる巻き込まれ探偵ノベル!
上で述べたような殺人ゲームという異常に潜んだ重いテーマと、淡々と切り込んでくる探偵モノの雰囲気作りが非常に面白い1冊でした。
さりげなく織り込まれた父親と娘という関係も、丁寧に描かれていて素敵でしたね。
まだまだ鷺浦に隠された過去は見えてきません。これは後々重要な局面を描ききる伏線となるでしょう。いやはや、段々このシリーズの全貌が見えてきました。
これは多分「Foolish Children」という不条理な力の働くゲームで、オグマをラスボスにした構図になりそう。
共闘を名乗り出てきたファウストの勢力がどう絡んでくるかが気になりますね。
いや~面白かった。未読の人は、1巻もあわせてどうぞ。おすすめです。
(→1巻の感想 [読了]電脳幽戯 ゴーストタッチ )
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電脳幽戯 ゴーストタッチ (講談社X文庫―ホワイトハート)
- 真名月 由美
- 講談社


















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