[読了]人類は衰退しました4

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あらすじ

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の“調停官”であるわたしのお仕事。里の娘さんがたからは、先生と呼ばれたりもしてます(恥ずい)。「妖精社」製の妙な品々が里に出回るのと前後して、走るチキンを目撃してしまったわたしは、祖父と助手さんとともに「妖精社」の工場視察に向かったのですが…。数か月でクスノキの里を、世界一の妖精人口過密地帯にしてしまったわたしの出張報告とともに、クニクニどうぞ。

「ふまれたいわー」「しょゆうされたい」

「ふう」

女王の朝は、一杯のミルクからはじまります。

「じょーおーさま、あさいちばんのここなっつみるくです?」

「いただきましょう」

”わたし”、女王様になる!?

いや~和むなぁー。今回は前回3巻のような冒険劇ではなく、いつにも増して平和なお話でしたね。いい意味でフォーマット化された”ようせいさんのおはなし”の完成系だったのではないでしょうか。

さて、今回の4巻は、クスノキの里の切迫した深刻な食料事情を思慮してか、妖精さんの仕業と思しき「妖精社」なるものが台頭し、その真贋を判断するべく「妖精社」に”わたし”一向が査察に赴く『妖精さんの、ひみつこうじょう』と、

せかいは、こんくりーとじゃんぐるです。(中略)つかれたですので、ぼうめいきぼう。とおいどこかへ、いきたいきもち。さしだしにん、ぼくら

着実に人口の増えつつある妖精さんがなにやら氏族化し始めているという兆候を捉え、いざ調査に出ると妖精さんのイジメの実態が明らかになり、そこから転じて妖精さん人口の過密化したクスノキの里からの亡命希望者とともに”わたし”が新天地に出張することになってしまった『妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ』の2つのエピソードから構成されています。

妖精さんの、ひみつこうじょう

これはひたすら「人類は衰退しました」らしいお話。一巻での原点を彷彿とさせる和やかな雰囲気と、それでいてここ最近の手馴れた饒舌な展開のような軽やかさを感じさせる、ある種「人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。」な世界感を濃縮したようなお話でした。

いい意味でてきとーに誤魔化されて描かれていて、この力を抜いたスタンスは1巻のあとがきで氏の語った「金太郎飴的ストーリーで何巻でも描けてしまう」「実にリラックスしたノベル」を体言していたのではないかと思います。

もう、この金太郎飴が本当においしいの。

誤魔化し方も回を重ねるごとに熟練されていて、その製法で良質な金太郎飴が生産されていく様はまさしく「田中ロミオの、ひみつこうじょう」と言ってもいいでしょう。

フォーマット化された”ようせいさんのおはなし”の完成系を垣間見た気がしました。

さて、本編の中身のほうですが、生活感溢れるリアルな描写が堪りませんでしたね。切迫した食糧事情も抱えながらも、そこに生きて生活している人の顔が見えてきて、その実直な生活様式には驚くほど悲壮感が見えてきません。だからこそ、”わたし”もてきとーに誤魔化していられるのかも。そんなクスノキの里の人たちでしたが……。

しかしながら毎度のこと妖精さんのオーバースペックっぷりには驚かされます。

どこか偉そうでウザい一斤さんには笑った。鳥肌立ちまくりの加工済みチキンたちとのチキンレースとはやってくれますね!

飄々と語られたオチもどこかうまくかわされた感があって、とてもとてもゆるーい空気感が素敵なまったりとしたお話でした。

妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ

うはー”わたしの”女王様っぷりが堂に入っていて堪りません。

どんどん女王様に目覚めて日増しにSっ気を増していく”わたし”には笑った。ぼくもふまれたいです?

あぁ、なんか黒いよぉ~。このさりげないのだけどごく自然な黒さが素敵ですね。普通に男性諸君は知らぬ間に尻にしかれてしまいそう。

どんどん体制が整えられ、発展していく様子は見事のひとことでしたね。さすが妖精さんといわざるを得ないオーバーテクノロジーな交配技術で不思議な植物が量産されていく様子は本当に楽しかった。

そうした楽しい一面が描かれながらも、氏族化し始めた妖精さんや、人口が過密化したことにより多様化した生活様式など、生態学的なアプローチから語られているシーンもあって、後々妖精さんの生態を描く重要な伏線にとなって生きてくるかもしれませんね。

お話自体は和やかなのだけど、どこか繁栄期から衰退した旧人類を暗喩しているようでその過程の縮図を垣間見たような気がしました。

さて、

さんざん遊び倒して島ひとつ吹っ飛ばした”わたし”女王様でしたが、それを追求する祖父の破天荒でお茶目な気性に和んじゃいましたよ。

いやはや、4巻になって安定した面白さを見せてくれたエピソードでしたね。このシリーズ、徐々にフォーマットとして完成されつつあるような気がします。そうした安定した金太郎飴的一面を見せながらも、後々に繋がるのではないかと匂わせる細かな伏線も描かれていて、まだまだ目が離せません。

まぁ、氏らしくただのはったりなのかもしれませんけれど……。

あとがきによれば来年新展開があるかも? とのことなので次回はいよいよお話が動くのかな? それともメディアミックスのお知らせなのでしょうか。兎にも角にもいい感じに気になってしまう辺りくやしいです。あぁ思わせぶりなあとがきがニクいなぁ!

というわけで非常に安定したつくりで丁寧に描かれたシリーズの4巻。今回も大変和やかで終始まったりとしたお話でした。

あと、”わたし”さんはショートカットも似合うと思いますよ。

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Itary亜人:ラノベと深夜アニメが主食の装飾系(webデザイン趣向的な意味で)ヘタレ男子。
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