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SHI-NO-シノ- 過去からの招待状 (富士見ミステリー文庫)
- 上月 雨音
- 富士見書房2008-12-20
TVから流れるニュースが悪夢の再来を告げている。ドキリとする僕とは反対に、志乃ちゃんは涼しい顔だ。僕と志乃ちゃんが出会うことになったあの事件。犯人は死んだはずだ。たしかに、もう終わったはずなのに―。僕にとっても志乃ちゃんにとっても、忘れられるわけがないその記憶。夜の公園で出会った志乃ちゃんの体温と、僕の手を濡らしたぬるりとした液体の感触。あの春の夜から、僕らはもう、逃げるわけにはいかない。志乃ちゃんが普通の小学生になるために。そして、僕と志乃ちゃんが、二人で未来へ歩いて行くために。大学生の僕と小学生の志乃ちゃんとの純愛系ミステリー。
寂し……かったよね。ごめんね
いいから
ここに居て
苦しんだり悲しんだりしとる人を見てるだけのウチが嫌やから。凄い自分勝手やろ?
は? 組織? なんだそりゃ、悪の集団か?
走って! 這い蹲ってでも、生きなさい!
再生しよう。もう一度挑戦しよう。ほら、一緒に
それでも――――
――――既に悪夢は始まっている
来たる終焉の時。一つの事件から端を発した過去と未来が円を描いて収束しようとする様子はいつか見た構図でもありましたね。そうだった、完全に楽観視しすぎていた。この作品は残酷なまでに容赦がなかったのだ。今まで散々見せ付けられてきたじゃないか。すべてが終わってしまった後には唯事実のみが残る。
今まで語られることがなかった志乃ちゃんとの再会 ―― 。
これはどういう風に語られるのかと思っていましたが、なるほど悪夢の再来というわけですか。過去の事件が現在とシンクロする。その藪の裏に潜む蛇とは一体どれほどのものなのだろうか。容赦のない毒牙が、『僕』たち一向に降り注ぐ。
『僕』を取り巻くすべての身内が当事者になってしまった今、容赦のない悲劇の再演が幕を開ける。
なるほど確かにこれは純愛の物語だ。『僕』と志乃、二人の直接の関係に於いてそれ以外の人物は意味を成さない。だけれどもこんな形で帰着してしまってもいいのか。その着地点が岩場の荒れ果てた荒野でもいいのか?
『僕』の果たそうとした『永遠』が望まれない形で果たされようとしていることに唯々困惑を隠せません。
ただ、まだ可能性はあるかもしれない。闇に取り込まれてしまった3人。その中で命を落とした2人とまだ息のある生存者の明暗を分けたのは一体何だったのだろうか。暗視スコープでの強襲において、要らぬ手間や情けをかける必要はないはず。そこに生存しなければいけない理由があったと考えるほうが自然かもしれません。だからまだ可能性はある。そう信じたいのだ。
次巻、最終巻。覚悟を決めて挑みたい。
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