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電波女と青春男 (電撃文庫)
- 入間 人間
- アスキーメディアワークス
異性と育む夢の高校ライフを過ごすはずだった俺の隣に、謎の電波女登場!?
宇宙人が見守ると噂されるこの町で、俺の青春ポイント獲得ミッション(具体的には女子との甘酸っぱい高校ライフ大作戦)はスタートした。
「地球は狙われている」らしい。同居する布団ぐるぐる電波女・藤和エリオからの引用だ。俺の青春ポイントが低下する要因であり、本ミッションを阻害する根源でもある。
天然癒し系な爽やか健康娘・リュウシさんや、モデルさんもびっくりの長身(コスプレ)少女・前川さんとの青春ポイント急上昇的出会いを経たにもかかわらず、俺の隣にはなぜか布団でぐーるぐるな電波女がいるわけで……。
……俺の青春って、一体どーなんの?
『嘘つきみーくん』の入間人間が贈る、待望の新作登場!
「今から一緒に空を飛んでやる。出来なかったらお前、地球人になれ」
本気印(本を抜いたら大変!)の電波ゆんゆん簀巻き女・エリオと、嬉し恥ずかし青春男・真の異星人間交流もとい不思議な邂逅を描いたお話です。
いや~正直、入間さんの前著「みーまー」シリーズは未読だったんですが、溢れる常軌を逸した感性に開いた口が塞がりませんわ。青春男こと、主人公の真は普通ぶっているんですがアナタ十分奇妙です! とはいいつつも、自分がどこか風変わりなことに頭の隅で半ば自覚的に捉えている冷静さがこの面白い空気感を作り出しているような気がします。
個人的にはこの作家さんの作風はかなりビビビときましたね。確かに回りくどいし、粘着質な妄想の塊のようなお話なんですけれど、思春期特有のコンプレックスを絶妙に擽って切り取っていくのが非常にうまいんですよ。擽るというよりも嗜虐のままに弄んでいる、という感じかな。
外見の悪さであったり、童貞であったり、引きこもりだったりといったコンプレックスからくる閉塞感を、あえて自覚的に認識してクソくらえとあざ笑う。そうして積極的に現実を捉えることで凝り固まった思春期のエキスを押し出して虚無感を払拭しようとしているんですよね。だから気持ちがいい。
この圧倒的な放出感。
百文字以内に纏めるならまさに『作者の自慰行為』。
作者のオナニーそのものにこんなにも魅了されてしまう。他人のオナニー見ているだけでも気持ちいいよね、という事実(※ただしおにゃのこに限る)を受け止められるかどうかがこの作品というかこの作者の作り出した世界観を楽しめるか否かの分かれ目なのかもしれません。
と、いうわけで。そうした思春期特有の心の機微が、全編通して非常によく表現されていた作品でした。
いや~特に後半は非常に気持ちよかった。駆け抜けるような飛びっぷり、もとい飛ばないための墜落っぷりは青春ポイントが高すぎて仰け反りそうでしたよ。
真の『逃避』の捉え方は面白いなぁ。おおよそ世間一般(エリオを含む)のニートと正反対。心の拠り所として、希望を抱くためにその場所を用意する、という考え方が、エリオのような逃避のままにその場所に逃げ込む姿勢を見ると瓦解してしまう。だから自分の矜持のためにエリオを引き戻す、というのはいかにも自分勝手ではあるのだけど説得力はあるよね。そこに言い訳しないから非常に好感がもてる。そしてそれを――エリオの心の距離感を見誤らない程度には目測に狂いがなかった。
非常に綱渡りな感が否めない青春イベントではあるのだけど、間違いなくエリオが地球人であったからこそ、その『地に足をつける』という儀式が非常に開放感溢れる素晴らしいものになったのでしょう。
真の言葉を借りるならば、「粒子が出てる」くらい輝いていました。
その青春イベントのオチが、リュウシさんに前川さんを合間見えたプチ修羅場というのもお見事。
いや~みんないいキャラしてるなぁ。ギャップ萌え年増属性の叔母さんに、説明不要簀巻き女のエリオ、そして天然系無害娘のリュウシさんに、コスプレ趣味が虚弱可愛い前川さんと選り取り見取りですな!
いや~面白かった。最初のというか半分くらいまではちょっぴり冗長に感じたけれども、その分凝り固まった閉塞感が一気に放出されていくような開放感は素晴らしいものがありました。
続きが出るかと言われれば微妙そうですが、周りのサブヒロイン+叔母さん(含めてはいけないような気がする)が大変魅力的なので、一波乱巻き起これば可能性はありそうですよね。
ともあれ、入間さんは是非ともその動向を追って行きたい。
- Alles ist im Wandel: 電波女と青春男
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