[読了]原点回帰ウォーカーズ

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原点回帰ウォーカーズ (MF文庫J)
原点回帰ウォーカーズ (MF文庫J)
森田 季節
メディアファクトリー

あらすじ

おかしな人間ばかりが通う私立脚伽坂学園には、当然のようにおかしな事件ばかりが起こる。そんな学園の平和を守るため、日々戦い続ける男・それが山崎章夫だ。ある時は失踪した天才音楽家の行方を追い、ある時は密室殺人の謎に挑み、またある時は突然美女と化した同級生の秘密に迫り、そしてことごとく“命を落とす”。そう、これらはすべて『彼ら』の陰謀なのだ!章夫の幼なじみであるアキラは、なんとか章夫の“結末”を変えるべく、学園の三奇人と共に『彼ら』に立ち向かうのだが―。ツッコんだら負けの、“運命ねじ曲げ系”奇天烈学園ファンタジー。

これフク、じつかけ!

これは演技(フィクション)です。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

ラスト一回、あなたを全力で監視します!

奇妙奇天烈、自由奔放。これはまた変なお話だよなぁ。絶妙に落とし所をはずしてくるセンスが堪りません。

脈略なく突拍子のない展開の応酬なんだけれど、作為的に張られたとある予防線のおかげであまり何も考えずに楽しむことができました。

甘南備君が他人には見えないから困ります。あれだけ憧れていた女優って小学生かよ! とツッコんでしまいましたが、ちびまる子ちゃんの実写ドラマの配役に感動してしまった僕は何も言えません。あー田島先生に個人指導されたいです。罰として難しい評論を書かされたい。

一見、荒唐無稽な学園奇天烈ファンタジー。

しかし、これはあくまでフィクションなんだな。この作品の本質は、1段上の階層に張られた上位レイヤー(登場人物たちすらも自覚的に認識している)をすべて否定することにあります。あらかじめ明示しておくことで、必要なときがくるとまるでカサブタを剥がすような気楽さで取り払ってしまうことが出来る。

そしてそのカサブタをとったあと待ち受けるのは、30ページ前後にまで濃縮されたとても濃厚なエキスなんですよね。これがまた爽やかで青春しているのだ。

ただ真っ直ぐに突っ走る!

EVERYTIME DEAD END。『ツッコまずにいられるか』は、『突っ込まずにいられるか』と、現実に反旗を翻す一途な疾走。

違和感を塗り重ねて一度テンションをマイナスにまで振り落とすことで、クライマックスの本当の1話が盛り上がる。

おおよそマイナスから0までの間が伸びシロとして機能するのだ。

いや~これはとてつもない実験作だった。作者自体が虚構の物語を否定することを推奨しているとんでもない作品だったのではないかと思います。原点を意識的に強調することで、一見バラバラで脈絡のない束をまとめてしまった奇抜な構成はお見事。

膨らんだ演技(フィクション)と、アキラの現実が交錯しながら収束していく様はまさに原点回帰そのものを体言していたのではないでしょうか。

いや~楽しかった。この人はこんなお話もかけるのかぁと至極驚いた1冊でもありましたね。このまま大きな1つの物語として書かれたならばとてもじゃないけど纏まらなかったであろうと思えるだけに、こうした奇抜な構成に纏めてしまった作者の構成力に抜群のセンスを感じます。

だからこそ、地の物語のクオリティがさらに高くなれば抜群に群を抜く可能性を感じるのでこの実験が作者の中で功を奏すことを祈りたい。

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