[読了]耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳

はてなブックマーク - [読了]耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳

著者イラストレーター
レーベルシリーズ名
このエントリーをはてなブックマークに追加

あらすじ

八高十一組、妄想以上! 第10回えんため大賞優秀賞受賞の超感覚・学園キネマ!!

僕はレイチ。元モグラ(詩的表現、元気いっぱいに!)。今年から第八高等学校に入学する将来のモテメン(希望込み)。っていうか適当に平和にやりつつ、好きな植物でも愛でて妄想の中で暮らしていきたかったのに、クラスメイトは異文化流モラルハザードなヤツばっか! 僕はインモラル以外食さねーっつってんだろ! とくに何なの? この幼女? ネルリ? 耳刈? せっかくの高校生活、痛いのはイヤ―!(耳だけに) 第10回えんため大賞優秀賞受賞、恐るべき超新星現る!

それは君にしかできⅨだ!

「委員長……僕、男の子なのに、こんな格好……恥ずかしいよぉ……」

いや、その役は僕よりワジの方がいいな。あいつ、こういうの本気で嫌がりそうだから。ムリヤリ女装させられたワジが真っ赤な顔して僕をにらみ……ヘ……ヘブン(くしゃみ)!

出来レースで~す!?

これはまた変な小説だなぁ。毎日丹精こめて脳内お花畑を耕す少年・レイチと、傍若無人な俺様独裁少女・ネルリのはちゃめちゃな日常を描いた学生運動ラブコメです。

一見何言ってるか分からないように見えますが、要約すると大体こんな感じ。

饒舌なレイチの語感が冴え渡っていて気持ちいい。大体シモネタか妄想ネタなんですが、お下品なネタも仰々しく遠まわしに仄めかすとお上品に見えてくる不思議。へ……ヘブン(くしゃみ)! はツボった。

饒舌なレイチの妄想は嫌いじゃないのだけど、テンポの掴めなさは素直に勿体無いと思ってしまいましたね。

しかし、この原因はごく単純なもので、レイチの秘密主義にあるのではないかと思います。

頭も切れるし行動することも厭わない。しっかりと表では立ち回っているのに、けれどそれを妄想でうやむやにしてしまう秘密主義なのが臨場感が出なかった原因なのではないかな。

まぁ、レイチは水臭いのよ。級友の顔を立てるあまり、自らがババを引き取ろうとするのですよね。でもそんな様子は微塵も見せずに妄想を振りまいてうやむやにしようとする――つまりどうしようもなく彼は不器用なのですよ。

そうして格好つけようとしているのに、里に帰ったら結局ダメなやつと思われるんだろうなぁと身相応の心配しているのには笑った。

サンガさんのことを弱みを見せない人と言ってましたけど、あなたも人のこと言えませんよ!

状況を理解したうえで、後に引けなくなった学内政治模様に、引きどころを提示するレイチの優秀さには驚きましたね。でも、そこで自分がババを引かない選択を何故できないかなぁ。

レイチの弱みを見せない強情さが、この物語の文脈という意味での臨場感を削いでしまっているような気がしました。

テンポは掴めない、けれどこの物語を流れる空気感にはどうしようもなく愛着が沸いてしまう――そんなお話だったと僕は思います。

……それにしてもあとがきの参考文献からどうやったらこの物語が生まれるんだ!

こういう電波は嫌いじゃあないです。あと電波といえば◇さんかな。◇ことイ=ウの分厚い恋文にはビリビリきた。あぁ、こういう熱い恋心を受け取ってみたい。気がない彼女をさりげなく落胆させないように取り計らうレイチの優しさにニヤニヤしてしまいましたね。イ=ウも、彼女が冷静な表情で俯瞰的に戦況のアドバイスしていたのを見るとレイチの本意を分かっていたんじゃないかなと思いますよね。

あぁ、◇さん可愛いよ◇ さん。レイチがふったなら僕がもらっていきまーす。◇さんの恋文は死んでも黄泉ますよ。

あ~楽しかった。この人の文はもう少し意識的に見えない部分を強調することが出来れば飛躍的に面白くなるのではないかな。このまま埋もれてしまうともったいない。2巻が出るなら是非とも読んでみたいです。

subscribe感想リンク

subscribeこのリンク集のRSS

このエントリーをはてなブックマークに追加

PG

Author's: Italy亜人

普通の大学生です。

私のサイト一覧はこちらへ。

「このラノ!2012」投票作

Image of 丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ (角川スニーカー文庫)
»丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ (角川スニーカー文庫)
著者:耳目口 司

迫真のキャラクター描写。「変態」とは何か、を考えさせられる傑作。

Image of テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)
»テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者:滝川 廉治

あまりにもしんどすぎる。しかし高校生にして人生の意味を振り返ることに、得も知れぬ迫力を感じた。

Image of キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)
»キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)
著者:赤月 カケヤ

ある「ズレ」た主体の自叙伝。

Image of
»"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1) (ファミ通文庫)
著者:野村 美月

「死者の声」を死者と共に語る、弔いの物語。仮初の友情が本物になっていく過程が胸を打つ。

Image of 羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫)
»羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫)
著者:至道 流星

恒太のアジテーターとしての才能が最強すぎる。

アニマジン - アニメを批評するブログ。

RSSアニマジン

  • 話数単位で選ぶ、2011年TVアニメ10選
    表題の通り、私が本年観たアニメ作品の中で、シリーズ単位ではなく個々の挿話単位で選出させて頂きたいと思う。 尚、ルールは以下の通りである。 ・2010年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選 […]
  • クローズアップされる手の構図
    並木道の線的な姿形をモチーフに、繋がれない手から顕在化する「空白」の中心に、千早ちはやと太一たいちにとっての新あらた、仏壇の中央に構える永世名人の遺影、新にとっての祖父の像が交錯するお話。クローズアップされる手の構図が、 […]
  • コード化される暴力
    いやぁ、面白い。 『C³ – シーキューブ』はいわゆるVFX(3DCGI/撮影=コンポジット/特殊効果など)が実に効果的に機能しているシリーズだと私は思う。それによる視覚的な効果を必須としたカット割であると言 […]
  • あの校舎の外の泣きたくなるような広さに
    生きづらい世界観だなぁ。 「はがない」の舞台の校舎は少々広すぎると思った。あれでは自由度が高すぎるゆえに何をしていいのかわからなくなる。そして「理由」がなければ、自分を場に繋ぎ止めることもできない。外の空間を自由自在に使 […]
  • 孤立化する空間、物語の関数としての「地下鉄」
    まず本稿は作品の背後で暗示されるコンテクストへの言及ではなく、物語上のプロット展開の関数となったある演出への言及であることを先に表明しておきたい。 先に図式を提示させて頂くとこうなる。   改札を抜ける、あのシ […]
  • アニメーションの修辞学
    アニメーションの修辞技法は日増しに洗練されている。 しかし、そうであるがゆえに、あまりにもストイックな鑑賞の態度が受け手に要求されるという逆説を抱えており、それが作り手の仕事の質に反比例して真っ当な評価を下されないでいる […]

ajinの読書メーター

Copyright © 2012 だい亜りー. All rights reserved.
Design by: Landscaping Jobs with Charleston Personals | Cleveland Singles | Radio Technicians, Arranged by: Italy亜人