アニメ とらドラ! #20 ずっと、このまま

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嘘と欺瞞に満ちた、いつも通りの平穏を歩みて。

聖夜祭での壮絶な幕引きが嘘のような穏やかさ。学期明け、結局は落ち着くところに落ち着いたのではないかと思います。

けれどそれは、事故を経て得た偽りの平穏。

この”おままごと”の再演にとうとう亜美は愛想が尽きてしまったのかもしれない。もしくは、竜児への失望と同情でもあったのかな。あんなに警告したのに、は亜美の本心でもあり、また竜児の幸せを願う健気な願いでもあったのではないでしょうか。

そして、事故を引き起こした相手でもある実乃梨は以前にも増して”いつもどおり”なのが気にかかります。

不器用な大河の振る舞いに戸惑いを隠せない実乃梨の表情が胸に響いてくる。実乃梨はあの大河の慟哭をどんな想いで見ていたのだろう……あれを見て大河の配慮を見てしまってはあまりにも自分の存在が居た堪れない。だから、実乃梨は大河のその姿を見て演技し通すことをはっきりと決定したのではないかな。

あの聖夜祭の告白未遂を経て、今もなおいつも以上にいつも通りな実乃梨の振る舞い――そう、その正体は揺れ動く感情の中で貫き通す『いつも通り』の演技なのです。

もとから実乃梨には演技者という本質が内面に介在していた。道化の自分を演じることで、恋に臆病な自らの内面をひた隠しにしてきたわけですね。そして、すべてを自覚した後、尚もその姿勢を突き通す。

その先にある平穏な日常を思い描いて――。

自らが存在することで亀裂が入ってしまった関係性を、自らの手で再び引き寄せて元通りにつなぎ合わせることで元通りの関係を維持しようとしたのですよ、実乃梨は。そこに入り乱れる各人の想いをなかったことにして。

朝の通学路を、二人並んで歩いていく姿がそれを殊更に象徴しているようでした。

二人の間にぶら下がった大河の通学カバン、これは大河の存在そのものの隠喩。その大河を二人手をとって三人で道を歩いていくのですよね。その方向は二人並行していて決して交わることなく歩き続けていく。その先に待ち受けた『いつも通り』の平穏を思い描いて。

けれどやっぱりその先は平穏だとは思えないよなぁ。

この歪な関係性に気づいたとき、それは破滅への渇望という最悪の形で破綻する。それはもうもがき苦しむように、あるいは這いずり回るように竜児は『いつも通り』の平穏を壊そうとするだろう。正気ではこの異常さにはとても耐えられたものではないからだ。

だからかな……、

この実乃梨の宣告は非常に残酷なことに思える。

前をみて歩いていくと決めてしまった実乃梨を振り向かせることはもう出来ない。この先実乃梨との関係を望むなら、竜児自らが大河の手を放して実乃梨のほうに向き直らないといけない、ということ。

それが何を意味しているか分からない竜児ではない。だから、それを自覚したときがこの物語の本当の修羅場になるのだと思う。

その矢面に立たされることになるであろう大河は、北村との間に何かしらの決着が着いたのかもしれません。アバンの途切れた邂逅シーンが意味深です。

そしてこの構図を見通していた亜美はまたもや遠いところにいるんだよなぁ。今回は愛想が尽きて自分から離れていってしまった。

そうしてすべては未来への一点へ向かって収束しはじめる。

竜児が各人の胸のうちを確認しあうように、ひとりごちる描写が印象的でした。そう、まるで今の現状に納得しようとしているよう。

その中で段々と胸のうちを明かしてくれるようになった実乃梨が興味をひきますよね。おそらく例の告白未遂で、想いを断ち切ったと同時に竜児は実乃梨の内側の存在になった。だからこそ、実乃梨の演じる舞台の渦中に立たされているのだと思います。

心の距離はもうすぐそばの位置まで近づいてきている。けれどその方向は通学路のシーンが象徴しているように決して交わろうとはしない。二人平行に進んでいく未来に希望なんてないのだ。竜児は必ず実乃梨のほうを振り向いてしまう。そしてそこで初めて目にするであろう、彼女の本当の表情を。

果たして竜児はそれを受け入れられるのでしょうか――。

まだまだ事態は予断を許しません。修学旅行で巻き起こるであろう一波乱を注視していきたい。

とらドラ!〈8〉 (電撃文庫)
とらドラ!〈8〉 (電撃文庫)
竹宮 ゆゆこ
アスキーメディアワークス

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Itary亜人:ラノベと深夜アニメが主食の装飾系(webデザイン趣向的な意味で)ヘタレ男子。
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