Warning: gzinflate() [function.gzinflate]: data error in /virtual/ajin/public_html/blog.ajin.jp/wp-includes/http.php on line 1787
Warning: gzuncompress() [function.gzuncompress]: data error in /virtual/ajin/public_html/blog.ajin.jp/wp-includes/http.php on line 1792
-
雪蟷螂 (電撃文庫)
- 紅玉 いづき
- アスキーメディアワークス
涙も凍る冬の山脈に雪蟷螂の女が起つ。この婚礼に永遠の祝福を―。長きにわたって氷血戦争を続けていたフェルビエ族とミルデ族。その戦に終止符を打つため、ひとつの約束がなされた。それは、想い人を喰らう“雪蟷螂”とも言われるフェルビエ族の女族長アルテシアと、永遠生を信仰する敵族ミルデ族長オウガとの政略結婚だった。しかし、その約束の儀は、世代を超えて交錯する人々の想いにより阻まれる。果たして、山脈の地に平和は訪れるのか。そして、極寒の地に舞う恋の行方は…。『ミミズクと夜の王』『MAMA』に続く“人喰い物語”最終譚。
――カニバリズムにみた刹那と永遠の再現性
「俺のすべてはお前にはやれない」
だから、と囁きは低く、かすれていた。
「俺の永遠をお前にやろう」
極寒の大地で紡がれた熱い激動の恋物語が圧巻。こういう激しい恋をしてみたいなぁ……喰われるほどに愛されてみたいし、また喰べてしまいたいくらいに誰かを愛してみたい。
食人という狂気を秘めたカニバリズムというものが、何に起因ものなのか読んでるうちはあまりよく分からなかったのだけど、それは劣情なのだよと説かれてなるほどな、と思った。
剣を交えることに喜びを見出す人がいたとして、その喜びが男女間の情に基づく性的な欲求として抱いたものならばその行き場がブレても不思議ではない。相手を引き裂き征服するということに意味があるのだと思う。
好きな相手を引き裂き、ありのままに蹂躙したいという劣情が激しさを増した究極の形がカニバリズムなのだな。
この自分本位な欲望の極みを尽くしたような倒錯した劣情は、受け入れる相手にもまた蹂躙されたいというマゾヒズム的な劣情が要求されるのかもしれない。しかしその欲望の均衡が果たされたときに、その食人の儀式は灼熱の温度を帯びた至極のラブストーリーとなるのだ。
そうした欲求を抱き、貪るように果たす様を蟷螂に例える辺り、紅玉さんのセンスは群を抜いている。
情交を交えた後に相手のオスを喰す蟷螂のメスに例えられるように、剣をもって相手を征するフェルビエの女はその儀式の刹那を尊び、また非捕食者であるミルデの男は食された後の永遠に思いを馳せるのだ。
そしてこのプロセスを果たして本当に理解していたのはいつの時代も女だけだった、か。
捕食者と非捕食者の関係をフェルビエとミルデの部族の対立という構造に落とし込んで、そのお互いの醸し出す異様さをそれぞれ『蛮族』と『死人狂い』として罵りあう様はまさしくお互いを理解出来ない男女のそれを感じさせます。
確かに狂おしいほどの異常性を秘めているのは間違いない、けれどそこに潜んだ『刹那』と『永遠』はカニバリズムの齎す快楽として本質的には同じものであった、と気づかされることで男女のそれと重ね合わせるように本当の意味でお互いを理解するに至ったのですよね。
喰べてしまいたいくらいに愛してしまった男女と、その未来を託された者たちが織り成す至極のラブストーリーでありました。
カニバリズムという異常性向の禁忌がもつある種の神聖さが、極寒の大地という吹雪く銀世界に込められていたのではないかと思います。
その神聖さの齎すピリピリとした冷たい外気に、内側から湧き出す温度が心の体温をそっと温めてくれる。幕間に挿まれたイラストにこんなにも魅了されたのは最近では プシュケの涙 以来だろうか。
これから新しく紡がれていく二人の雪蟷螂の恋物語に思いを馳せてみたい。
- 雪蟷螂 | MOMENTS
- 積読を重ねる日々: 『雪蟷螂』読了
- 徒然雑記 : 雪蟷螂 - livedoor Blog(ブログ)
- 雪蟷螂 : 今日もだらだら、読書日記。
- 雪蟷螂 - いつも感想中
- 雪蟷螂 [紅玉いづき] - 彩彩華美 - Yahoo!ブログ
- Alles ist im Wandel: 冬蟷螂
- booklines.net - [紅玉いづき] 雪蟷螂


















Trackback policy - トラックバック・ポリシー
言及リンクは特に必要ありません(が承認待ちになることがあります)。
初めてされる方もお気軽にどうぞー。頂いたトラックバックは丁寧に拝読させて頂いています。
内容が良かった場合はこちらからもトラックバックを送らせていただくことがあります。
あとは、基本的に承認なしなのですぐに反映されますが、機械的に弾かれてしまったトラックバックは承認までにお時間を頂くことがあります。こちらは手動での作業となりますのでご了承ください。
内容が悪質な宣伝目的やスパムと思われるものや全く関係のないトラックバックは削除します。
TrackBack URI