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とらドラ 10 (10) (電撃文庫 た 20-14)
- 竹宮 ゆゆこ
- アスキー・メディアワークス
超弩級ラブコメ、感動の完結編! 竜と虎の生き様を目に焼きつけろ!
春。衝撃の出会い。
ラブレター。共同戦線。電柱キック。
偽乳特戦隊。2DK根性。かぶせたティアラ。
エンジェル大河。くまサンタ。雪山の告白──
そして、雪舞い落ちる二月。
手を取り合って逃げ出した竜児と大河。
それぞれの想いを胸に、二人はともに未来を切り拓こうとする。立ちはだかるのは、ままならない世界。
ぎりぎりの状況に立たされた竜児の下す決断とは。竜児と大河の、実乃梨、亜美、北村の、それぞれの想いの行方は──。
――返品できないから。離さないから。手遅れだから。
「もうすぐ俺は十八になる」
「嫁にこい」
「俺のこれからの日々を、これから先の全部を、すべてを、おまえと一緒にやっていく。一緒に暮らそう。これからずっと」
竜児のガキっぽさにイライラとしながらも、いつのまにかその心の機微がとても愛おしいものになっていた。
未熟さゆえにかき回されてきた竜児たちの関係性が、よもやこんな形で収束しようとは思いもしませんでした。超弩級ラブコメ堂々の完結編。
結局の所竜児と大河の行き着く先は駆け落ち、だったのですよね。
実乃梨たちが着々と一歩を踏み出していく一方、それと対比するように目の前の現実から目を背けた竜児と大河に行くことが許されたのは二人だけの閉じた世界のみでした。
ここにきてようやく竜児は自らが犯した間違いに気づくのですよ。どうしてこんなことになってしまったのだろう……そう自分の中で問い続けることで明確な答えが形作られる。
それは、大切な人を守り抜くと決めた、等身大の高校生のプロポーズでした。けれどもこれは甘いよ、甘甘だよ竜児。その先に待ち受ける困難を竜児は絶望的に描けていない。大人の世界とのしがらみはどうやっても切れるものではないのだ。そう、これは甘い『家族』への幻想を投影した世迷言の夢物語。
それでも、今の竜児と大河に必要だったものは紛れも無い『家族』だったのですよね。
今の竜児に欠けているもの、見つめなければいけないもの、考えなければいけないものが泰子の歩んできた道のりに密接にシンクロしてきて手に足とるように伝わってきました。
竜児は確実に間違いを犯してしまった、けれどそれを本人が理解するからこそ大人は黙って彼を見守ることが出来る。
竜児が気づき理解するためのヒントは、今までの思い出の中に沢山隠されてきたのではないかと思います。言わばこの逃避行はかつて家を飛び出し大人の世界から逃げ続ける道を選択した泰子の再演だったのだ。
2度起きる、というのは竜児たちの『おままごと』から続いているのですよね。一度味わっているから振り返ってよりよい選択を決断することが出来る。
絶望の淵に叩き落されることで、唐突に広がりを見せた竜児の世界。
欠けていたものを取り戻していくその姿に堪らなく心を揺さぶられてしまう。駆け抜けるような発想の飛躍はあまりにも荒唐無稽なのだけど、その完成系である未来地図は意外にも理想的な到達点だったのではないかな。
けれどそれを遂行するのは大人でも難しいのよ。その間の現実的な壁を埋められない所がやはり子供なんだな。でも子供でもいいじゃないか。天を翔けながら己を見下ろし、今を懸命に生きようと奔走する泥臭い青春の日々があまりにも煌いていた。
天翔る竜の地に足つかない展望は、地を這う猛虎の存在を以って形を成す。その完成系こそが唯一無二の『家族』なのだ。
竜児たちの歪な関係性から、その言わば『高校生の世界』が急激に広がりを見せた10巻でしたね。
今まで散々根を下ろしてきた友人関係の亀裂は、大人という巨大すぎる共通敵を作り出すことであっさりと結びつきを深めてしまいましたか。
けれどこれは今までの積み重ねあってのものだと思います。
それぞれ各人が抱えてきた葛藤を解決することが出来たからからこそ、仲間たちは最大限サポートにまわることが出来た。
たとえどれだけ子供の考えでも、竜児の決断を全力でサポートしてくれた仲間たちの友情には眩しいものがあって嫉妬しちゃったかな。
プライドの高い実乃梨と亜美が、お互いに泣きつくように気持ちを通わせあっていたシーンにはこみ上げるものがあった。亜美の孤独はこの一体感に救われたのだと思います。特別な一人を得ることは出来なかったけれど、心のうちを曝け出すことの出来る特別な仲間を手に入れることが出来た。
この泥まみれで格好悪いありのままの青春がとてつもなく愛おしい。
大人の世界の理不尽に反旗を翻す――このクライマックスは共通の目的が齎した言い知れぬ連帯感の成せる技だったのかもしれません。
決して竜児たちの決断は正しいとは言い切れないのよ。まだまだ大人というには拙いものがあるし、周りにも迷惑ばっかりかけている。けれど間違ってもいいじゃない。大切なのは間違いに気づき、それを正すことが出来るということなんだよ。
自分のことを『子供』だと本当の意味で理解している子供は、時に大人には想像もつかないパワーを発揮する。そして竜児たちは理解する『賢さ』を持っていました。この青春の輝きが齎す『格好悪さ』に脳髄が痺れるような興奮を憶えましたね。
まさに七転八倒、どれだけ転んでも竜児たちは起き上がることが出来た。
形を成すことが出来た竜児たちの物語に今一度拍手を送りたい。
- 随想 : とらドラ10!
- 積読を重ねる日々: 『とらドラ10!』読了
- とらドラ10! [★★★] | 絵空事の最果て
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- とらドラ10! : 今日もだらだら、読書日記。


















駆け落ちしそうで駆け落ちせず、負の世代連鎖の元凶
「機能不全家族」のリカバリーに着手すること。
一旦プロポーズはしてもそのまま1組の男女の閉じた
カタルシスに直行せず、あくまで「将来」のビジョン
に留めている現実性(あわてなくても「そういうふう
になっている」のだから)。
そういったバランス感覚を伴わせつつのハッピーエンド
がたいへんよろしかったと思います。
ヤクトタイガーさん、コメント有難うございます。
そうですね、竜児の物語としての落としどころはこれ以上ないくらいに絶妙だったと思います。
この綱渡りには非常にやきもきさせられました。1巻で見せた「機能不全家族」の形が、9巻で広がりを見せ、緻密に伏線が張り巡らされたからこそのハッピーエンドだったのかもしれません。
しかしながら、竜児の物語としては申し分ないエンドなのですが、パートナーである大河や、脇役というにはあまりにも深く掘り下げられた実乃梨や亜美について物足りないものがあったのも事実な気がします。
この辺りはスピンオフでフォローされればいいのですけれども。ともあれ、竜児が間違いに気づいた(そして間違いとして描かれた)のがこのラストの何よりも良い所だと思いました。