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原点回帰ウォーカーズ〈2〉 (MF文庫J)
- 森田 季節
- メディアファクトリー
私立御伽坂高校の最高峰である三奇人の一人にして女子高生小説家の天ノ下芝蘭に、学園のアイドル・新発田が小説対決を挑んできた。「素人の新発田なんかに負けるはずがない」と余裕の芝蘭だったが、勝負の審査方法は全校生徒の投票によるもの、そして生徒のほとんどが新発田のファンという、芝蘭にとって絶対的に不利な内容で―(第一話)。“神をも召喚する男”渡会竜太朗と“魔道サイエンティスト”物理火燐による因縁の対決再び―(第二話)。「しばく」先輩・久我原いすみがついに登場―(第三話)。独特ワールド全開の奇天烈学園ファンタジー第2弾。
――「フィクション」が許されるのは小学生までだよね~。
「一肌脱ぐよ、芝蘭ちゃん」
「あのバカ、本当に一肌脱いじゃった……」
「俺は死んでもお前の邪魔をしてやる」
「是大神呪、是大神呪……物理火燐、物理火燐、物理火燐!」
「ああ……これが足利さんの水着……」
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……これ、着てもいいですか?」
「アキラ、どこだ!」
「アキラ、すぐに助けるぞ!」
前作が十哲の織り成す「フィクション」の束が基盤レイヤーへと「原点回帰」する物語だったのならば、今作はその十哲の内面へと焦点を当ててきた形だ。深く掘り下げられた「あなた」と「わたし」の関係性がその本質へと「原点回帰」する。
今作はそんな4組の十哲持ちの4つの「原点回帰」が束を形成していた。
いやー面白かった。前作で抜け落ちていた十哲たちの精神性をうまく補完しつつ、自由自在に筆が走る奔る。目まぐるしく駆け回る自由奔放奇想天外なキャラクターたちを描ききってしまう森田先生の姿勢に「原点回帰」への迸る愛着が窺えてしまうのです。「原点回帰」することで素直さを取り戻していく十哲ランカーの青春物語が最高ゥ☆
いやー2巻はより直接的に面白くなったなぁ。1巻の内容では「物語」自体に大きなギミックが仕掛けられていたのとは対照的に、今回の2巻では十哲持ちたちの内面的な「関係性」が鍵となっていました。これはとても分かりやすく表現されていたように思う。今作は4組の十哲持ちがそれぞれの関係性の本質へと「原点回帰」するのですよね。
そんな4つの「原点回帰」が束を形成した「物語」。うん、うまくやっていたように思う。
前作はその性質上、原点回帰への「ギミック」を感じ取れるかどうかというのが読み手のセンスに託されている節があって、そこが人を選ぶ作品たらしめていた要因でもあったのだけど、今回は等しくエンターテイメントに特化していたのではないだろうか。
思えば、原点回帰ウォーカーズシリーズの面白さってパズル的な面白さに似ているような気がする。
原点という「点」と「点」が有機的に結びつきあうことでやがて「原点回帰」という流れを伴った「線」が浮かび上がる。そうして現れた「線」の定型化と反復。これが読み手に絶大な安心感を与えるのです。
つまりは、「物語」に左右されない構造的な面白さの創出。
この「点」というピースがカチッとハマる感覚――「原点回帰」(パズルゲームとしての到達点)が”成立する瞬間”が一番面白いんだよなぁ。なんというか脳汁が出るような知的好奇心が満たされた面白さがある。
そしてソレの「反復」が、暗黙的な肯定としてメッセージ性を持つことでこの正解を肯定してくれるといった「安心感」へと生まれ変わる。
言わば「森田先生のお墨付き」
だから同様に、パズルが解けなかった読み手にはこの「森田先生のお墨付き」が貰えないのだ!
1巻で合点がいかなかった人の困惑の所在はここにあるのではないかな。そういう意味では「物語的」なシナリオをかっ飛ばし、パズルとしての「構造的」な面白さを追求した1巻はとてつもない実験作だった。
今回の2巻では、その「構造的」な面白さと「物語的」な面白さの歩み寄りが図られていたのではないかと思います。
この両者が絶妙のバランスで配置されていた。
「構造」という土台に「物語」のピースが組み合わさることで「線」は大いなるラブストーリーへと加速する!
いや~ニヤニヤが止まらなかった。1話の彼女も愛おしかったけど、個人的に一番ツボにきたのは2話だったかな。全力でぶつかり合って打ち解けるベタ甘ラブストーリーがもう大好き。
原点回帰ウォーカーズはおそらく毎度森田先生が創り出す新しい「原点回帰」のロジックを読み解いていくシリーズになるのかもしれないと思った。その上で、解けた瞬間に自由自在に迸る「物語」の激流が駆け巡るんだ。いや~これは楽しみなシリーズになった。1巻のときには戸惑いも大いにありましたが(→ [読了]原点回帰ウォーカーズ )、この展開なら安心して追っていけそう。まだ1巻をお手にとってない方は今のうちにもう一度おすすめしておきます。
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