戦場のヴァルキュリア #10 吹雪の夜

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吹雪の夜の出会い。

ミヒャエルという一人の脱走兵を通して「戦場」が繋ぎ合わせる二国間の実情が見えてきた。

今回明らかになったのは、ガリア公国から見た帝国像なんですよね。ミヒャエルを語り手として軍国主義の帝国、が叙述されていく。

戦場のヴァルキュリアの今までのエピソードを「視線」を意識して思い返してみると、先々週までのエピソードがガリア公国、先週のエピソードが帝国とそれぞれのサイドから描かれてきたのだが、これはあくまで自国の内情をただ一元的に描写したものでしかなかった。

それが今回初めてガリア公国サイドから帝国内部へと視線が向いたことで外側から帝国の実情を窺い見るといった交わる動きが出てきたのではないかな。こうして多元的に描かれていくことでとたんに描写に”厚み”が出るのですよね。

この”厚み”は、直接「戦争」を描かずに「戦場」を描こうとする戦場のヴァルキュリアだから大切なのではないかなぁ。戦争がもたらすテーマ性を回避するということは、この”厚み”を「戦争」では表現しえないという弊害をもたらす。だからこそこのエピソードは短いけど印象深かった。

帝国の国家像には軍国主義が大きく反映されていたのではないかと思います。支配層への”成り上がり”をうまみにすることで大衆の軍事動員を促進するという構図はよく見られるような気がする。中国の科挙官僚も言わばそのようなうまみを持ち出していたわけですし。だが実情はただトップが利用するためだけに動員された盤上の「駒」でしかなかった。

その「駒」から「プレイヤー」へは永遠に成りえない。これを成りえると思わせる”錯覚”が肝なのだ。ある種、確立された王政の支配的イデオロギーへの反抗――つまりは「駒」から「プレイヤー」への成り上がりこそが第七小隊に科せられた命題なのではあるまいか。

今回のエピソードはこの辺りの機微をうまく処理していて、盤上の「駒」から「戦場」という盤を見下ろす「プレイヤー」への転換を示唆していたように思える。やはり戦場のヴァルキュリアは最後には「戦場」へと収束するのではないか――そんな予感めいたものを感じさせたエピソードでした。

あくまで主役は帝国・ガリヤ公国ではない。

そこで生きる兵士たちが「プレイヤー」へと成り上がる下克上の物語を静観していきたい。

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