[読了]化物語 上

はてなブックマーク - [読了]化物語 上

著者イラストレーター
レーベルシリーズ名
このエントリーをはてなブックマークに追加

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)
西尾 維新
講談社

あらすじ

阿良々木暦を目がけて空から降ってきた女の子・戦場ヶ原ひたぎには、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかった―!?台湾から現れた新人イラストレーター、“光の魔術師”ことVOFANと新たにコンビを組み、あの西尾維新が満を持して放つ、これぞ現代の怪異!怪異!怪異。

青春におかしなものは”つきもの”だ!

「一応、言葉にしておいてくれるかしら」

「言葉に?」

「なあなあの関係は、嫌だから」

「ああーーそういうこと」

「はやるといいよな」

「はい?」

「戦場ヶ原、蕩れ」

幽霊少女と被吸血少年に恋は”つきもの”!?

掛け合いのとても気持ちいい作品だった。

人には皆「表」と「裏」がある。優等生な外面と、デリケートな内面に内在した荒々しい「化」けが見え隠れする青春物語。

とある事情によって体重がなくなってしまった少女・戦場ヶ原ひたぎと、これまたとある事情によって異常な身体能力を手に入れてしまった少年・阿良々木暦のでこぼこコンビが楽しいの。

極度に人とのコミュニケーションを拒む戦場ヶ原ひたぎという少女を通じて、外面の仮面と内的な精神性にせまる本質を言葉と言葉のやり取りから鋭く切り込んできたように思えたかな。

「表」の裏返しは「裏」で、その逆もまた然り。普段陽気なあの人は心の底に何を抱えているのだろうか。そんな不安定でままならない心の機微を、民族学的なモチーフを交えてコミカルに描きつつもその裏返しとしての切実さを描くことも忘れない。

そんなどこか”欠けた”主人公たちの、”欠けた”ピースを埋め合わせるように繰り出される絶妙な掛け合いが秀逸だった。

もしかすると、そうした表の仮面こそ”つきもの”だと言えるではないだろうか。それでも、大事なピースの欠けを認め、受け入れてもなお不完全なまま在り続けようとするひたむきな姿にどうしようもなく人間臭さを感じるのですよね。

西尾維新とVOFANのコンビが送る、怪異!・怪異!・怪異!の珠玉の言葉遊び小説でした。

今期から始まるアニメ作品も是非楽しみにしてみたい(おそらく先にこの本を読んでおくと登場人物に愛着が沸くように感じます)。

このエントリーをはてなブックマークに追加

PG

Author's: Italy亜人

普通の大学生です。

私のサイト一覧はこちらへ。

「このラノ!2012」投票作

Image of 丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ (角川スニーカー文庫)
»丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ (角川スニーカー文庫)
著者:耳目口 司

迫真のキャラクター描写。「変態」とは何か、を考えさせられる傑作。

Image of テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)
»テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者:滝川 廉治

あまりにもしんどすぎる。しかし高校生にして人生の意味を振り返ることに、得も知れぬ迫力を感じた。

Image of キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)
»キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)
著者:赤月 カケヤ

ある「ズレ」た主体の自叙伝。

Image of
»"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1) (ファミ通文庫)
著者:野村 美月

「死者の声」を死者と共に語る、弔いの物語。仮初の友情が本物になっていく過程が胸を打つ。

Image of 羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫)
»羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫)
著者:至道 流星

恒太のアジテーターとしての才能が最強すぎる。

アニマジン - アニメを批評するブログ。

RSSアニマジン

  • 話数単位で選ぶ、2011年TVアニメ10選
    表題の通り、私が本年観たアニメ作品の中で、シリーズ単位ではなく個々の挿話単位で選出させて頂きたいと思う。 尚、ルールは以下の通りである。 ・2010年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選 […]
  • クローズアップされる手の構図
    並木道の線的な姿形をモチーフに、繋がれない手から顕在化する「空白」の中心に、千早ちはやと太一たいちにとっての新あらた、仏壇の中央に構える永世名人の遺影、新にとっての祖父の像が交錯するお話。クローズアップされる手の構図が、 […]
  • コード化される暴力
    いやぁ、面白い。 『C³ – シーキューブ』はいわゆるVFX(3DCGI/撮影=コンポジット/特殊効果など)が実に効果的に機能しているシリーズだと私は思う。それによる視覚的な効果を必須としたカット割であると言 […]
  • あの校舎の外の泣きたくなるような広さに
    生きづらい世界観だなぁ。 「はがない」の舞台の校舎は少々広すぎると思った。あれでは自由度が高すぎるゆえに何をしていいのかわからなくなる。そして「理由」がなければ、自分を場に繋ぎ止めることもできない。外の空間を自由自在に使 […]
  • 孤立化する空間、物語の関数としての「地下鉄」
    まず本稿は作品の背後で暗示されるコンテクストへの言及ではなく、物語上のプロット展開の関数となったある演出への言及であることを先に表明しておきたい。 先に図式を提示させて頂くとこうなる。   改札を抜ける、あのシ […]
  • アニメーションの修辞学
    アニメーションの修辞技法は日増しに洗練されている。 しかし、そうであるがゆえに、あまりにもストイックな鑑賞の態度が受け手に要求されるという逆説を抱えており、それが作り手の仕事の質に反比例して真っ当な評価を下されないでいる […]

ajinの読書メーター

Copyright © 2012 だい亜りー. All rights reserved.
Design by: Landscaping Jobs with Charleston Personals | Cleveland Singles | Radio Technicians, Arranged by: Italy亜人