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鎮目のショタコン趣味とマダムの謎の扮装コスチュームが冴え渡らない!
というわけで、前回エピソードのCパートから尾を引く形で某かの侵攻するアバンで幕を開けた第11話のエピソードでありました。
このエピソードで注目するべきはずばり、「月」だったのではないかと思います。
それでは、今回のエピソードから物語を追っていくことに致しましょう。
昼間に出る弓張月の影--あちらとこちらを繋ぐもの
前回のエピソードで強調されていた、迫りくる弓張月のイメージが記憶に新しいのですが、今回では劇中にごく当たり前のように登場しているのが印象的でした。まさに白昼堂々といった具合にこの画面に同調する様が逆に不自然さを醸し出す「月」は、8話で出た「太陽」の指し示す「過去の記憶」と対になった「未来の記憶」の表象であることまでは繋がるのですが、これでは少し物語の動き始める起点というには弱いといわざるを得ません。
しかしこのショットのヒントは直前の小林の語の中にありました。
その兆し、沈むことなく昇る弓張り月にあり
これでアバンの風景とスオウたち東京の風景が視覚的に繋がれることになる。
しかしあくまで「未来の記憶」というタームを補強するイメージでしかないこの「月」でありますが、その後に続く廃墟となった水族館が映し出されることで、「未来の記憶」に記憶された未来のパターンが確定する兆し、そして過去から立脚したイザナミ/イザナギ軸から生まれた「第三」の存在が成立するまでが一つに繋がるように思えるのです。
ずばり、このエピソードで肝となるタームは、「太陽」と「水」の関わりのように、「月」と「干上がった水」の関わりからみていけばいいのではないでしょうか。
乾く水底--「記憶」から暴かれる真相とは
8話から今までの流れでようやく像を結んだのが「水」のイメージの連鎖が形作る「記憶」への結びつきでした。
本来「記憶」というものは現在から過去への一方通行の向きであるといえるのですが、本作では「未来の記憶」といったタームが与えられたことで「記憶」の存在だけを示唆する「水」の働きは、その本来の流れる様をなぞって過去と未来の間を流動する向きのない単なる「記憶」として機能することになります。
そしてその「水」が溜まった水槽である「水族館」はいわばシオンの記憶だったのだと思います。これは同じく枠を規定された水槽である「プール」がスオウの記憶と密接に関係していたことからも担保されていますよね。
それら水槽が記憶の海だったのだとすれば、漆黒の花のPVで映し出されていたどこまでも広がる海原のイメージとも繋がります。
しかし、その「水」が干上がるという所作は、記憶の枯渇する--つまりは記憶の保有者が生き絶えることさえも示唆しうる--フラグメントとして機能するのですよ。
そして空間的な広がりを可視化する水槽の枠組みは、干上がることで乾いた水底を露呈する。これはまるで記憶の海の底に沈んでいた真実が暴かれることを示唆しているようではないでしょうか。
それら一連の隠喩を繋ぎあわせる形で、スオウのパパ・パヴリチェンコ博士との再会によって、スオウの出生の秘密が暴かれていく。スオウの肉体はスオウのものですらなく、スオウの女性性はシオンのコピーの”間違い”から立脚したものであったことが明かされる。
しかし、重要なのはそこではありません。ここで本当に注目しておきたいのは、スオウがシオンの”左目”から生まれたということ。
本作でイザナギに位置づけられているシオン。そのイザナギの左目から生まれたスオウは、ずばり本作におけるアマテラスなのではないでしょうか。
面白いことに、この水族館の名前をまた「サンシャイン水族館」といった具合に「太陽」と「水底」の切っても切れないタームを繋ぐタイトルを冠していたのです。
スオウの正体に迫る ――太陽の神アマテラスとの関わり
恋するスオウと「冬の月」―― DARKER THAN BLACK 流星の双子 #10 「偽りの街角に君の微笑みを …」 » だい亜りー
日本神話によるとイザナギの右目からは月讀命(ツクヨミノミコト)が生まれたそうです
と前の回の記事でこう書きましたが、今回の注目すべき点は左目にあります。
このショットでシオンは右目を負傷し、左目が発光した後にスオウがコピーされている(パヴリチェンコ博士談)。
日本神話によると、イザナギの左目からは太陽の神天照大神(アマテラスノオオミカミ)が生まれているのですが、作中でイザナギに位置づけられているシオンの左目から生まれたスオウが隠しタームのアマテラスとしての役割を得ることは何ら不思議ではないのです。そしてこれはスオウの「過去の記憶」と関連付けられていた「太陽」とのかちりとはまりますよね。ここにきて「太陽」は表象レベルでの関わりから、一気に「月」と並ぶキータームへとせり上がってくる。
「太陽」の神アマテラスと、「月」の神ツクヨミに見立てられた――スオウと第三の某との対決もしっくりきます。
思うに、シオンの能力の本質はコピー能力ではなく、”生み出す”能力なのではないでしょうか。彼の能力の真意はイザナギとして生み出して意味づけることにある。けれど、完全に一から生み出すことは出来ないから彼の元々の能力であったコピーが充てがわれた。それゆえに”異なる部分”が生じたわけですね。
そして、シオンの役目は左目からアマテラスを生み出し、右目からツクヨミを生み出すことで終わる。
右目を負傷したゆえに左目でスオウを生み出したシオンは、今度は眼帯の下からあらわになった右目によってツクヨミを生み出すわけですが、その”コピー”の元になるドールが他ならぬイザナミ・インだったのでありましょう。
これでようやく「未来の記憶」の中身である三鷹文書の文面がかちりとはまる。
三鷹文書の解読 ――「未来の記憶」の確定パターンに迫る
というわけで、これらのタームを交えながらいざ三鷹文章に目を向けてみると、なんとなく輪郭が見えてきたのではないでしょうか。
イザナギは偽りの水底を眺めてイザナミを待てり
イザナミは水底を渡り来たりてやがて二人出会えり
されば天地は二つに裂かれ地獄の門はそこへと開かん
門より出でし者誰ぞや知れず、ただ争いがはつることなく続くのみその兆し、沈むことなく昇る弓張り月にあり
其はやがて満ち満ちてイザナミの産み月となる
偽りの水底は水族館の水槽。プールとの比較でみれば、これはシオンの記憶でもあるのですが、スオウの中に根づいていた偽の記憶の水族館の思い出こそが、鍵となる偽りの水底のように思えました。
もう、イザナギとイザナミは出会っている。
そして地獄の門とは本作で黒の契約者の頃からのキータームであったゲート。
ゲートがアバンの風景とスオウたちの東京を繋ぐ地獄の門なのかもしれません。
弓張月が満ちたとき、イザナギとイザナミは出会い、イザナミを元にコピーされた”ツクヨミ”なる第三の某が生まれた。というのが最終回で明かされるであろうアバンの風景が引き起こされるまでの省略された過程ではないかと予想してみました。
多分コピー元となったインは無事で、”アマテラス”と”ツクヨミ”の対決とは別にヘイがインと再会する展開もありうるような気がしています。
さて、最終回どうなるのかな……。パヴリチェンコ博士との再会も果たし、マダム・オレイユや未咲たちゲートに集う最前線のメンバーの裏側で、ヘイと葉月の闘いや三号機関とCIAの追っ手も気になります。駆け足でそれらを回収すれば充分ストーリーは結末へ到達できるはず。期待が膨らみます。
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