| - | 『 デュラララ!! 』 | - |
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| - | 人物との描き分けによって迫り出してくる「池袋」のリアル―― (新番組)#1 「開口一番」 | - |
「僕は本当に運がいいぞ……可愛い男子たちのいちゃいちゃが目の前で観られんだからっ!」
帝人と正臣のいちゃいちゃっぷりに身悶える。
いやあ楽しいなぁ……わくわくするなぁ。関西最速放映ということで、楽しみにしながら観ていたのですが、これがなかなかに期待させてくれる始まりだったのですこしばかり雑感を書いてみることにします。ちなみに僕は原作は未読です。
リズム感溢れるOPアニメーション――”投げる”ということ
まず目に付くのがOPアニメーション。OPのリズム感が抜群に気持ちいいのですよね。日常から逸脱した行為がビートを刻んで、非日常な結果へと連鎖していく。
例えば、投げられたケータイ電話の赤色から引っこ抜かれたポストへと接続されるこのシークエンス。
同じく”投げる”という動作によって、何者かがおもむろに「ポストを持ち上げて投げつける」という非日常極まりないシチュエーションに刮目しながら、そしてその勢いが「投げつけたポストがスプリンクラーの角に当たる」ことで「スプリンクラーから勢いよく吹き出す水」となって投げた当人に跳ね返ってくるという結果に二度驚かされるわけです。
そして「勢いよくぶつかった自販機から出た缶ジュース」へと繋がって、またもや”投げる”という動作によって手渡しで人の手を渡っていき、「缶ジュースの蓋から勢いよく吹き出すジュース」という結果によって「投げる→吹き出す」というシークエンスが二度反復される。
このような、「日常の舞台で繰り広げられる、ありそうでない非日常」をOP曲「裏切りの夕焼け」のビートに乗せてリズムを刻んでいく映像がとても気持ちよくて爽快。抜群にいいリズム感によって、都市の街並みから浮き上がっていく人物たちを切り出して、ありのままに繋いでいく気持ちよさのようなものを感じました。これが滅茶苦茶楽しくてワクワクするんですよ。
そしてこうした一連の繋ぎの妙は、先行放映されていたCMでも垣間見ることができました。
例えばこのCM。
背景で流れる「裏切りの夕焼け」に沿って足でビートを刻んでいくのですが、しかし足元にあるのは携帯で、それをおもむろに踏みつけてあまつさえ見せつけてくる様子に、顔を覆うガングロメイクのコギャルたちが驚嘆するというこの奇妙極まりないシークエンスもまたとても興味をひかれます。
そしてどうやら、この作品に関連するタームとして「ポスト」や「自販機」や「携帯電話」が出来そうなことも後々になって匂わされることになります。
「池袋」という街 ――人物との描き分けによって迫り出してくるリアル
さて、ようやく本編の感想に入りますが、
このエピソード、全体を通してとても面白い描かれ方をしているのですよ。
ストーリーは、「池袋」に引越してきた今春高校生になる少年・帝人がかねてからの親友・正臣と再会して池袋の街並みを二人で散策していくというものなのですが、なんといっても目をひくのが帝人の視界に映る景色ですよね。
ここでは人物が灰色に沈んで、背景の池袋の街並みがまるでせり出してくるかのように色を主張してくる。
それはまるで「帝人の目には街しか映っていない」かと言わんばかりに。
そしてそれを肯定するように、帝人の目に映るもの、彼と関わりをもった人々に「色」あるいは「カラー」がついていくこの「人物の描き分け」も非常に目をひくポイントだといえるでしょう。
これは同じく街並みを描きつつも、画面に均等に人物を描写していた『東京マグニチュード8.0』との比較でみても面白いと思います。
こちらは未来ちゃんの視界に映る「崩壊した東京」が描かれていたわけですが、すべてが均等に、写実的に描かれていますよね。これは「人物の描き分け」を平然と画面に映し出している本作とは違い、「抽象的で普遍的な人間ドラマ」として描かれた作品の世界観とマッチした描写ではありました。一方で本作は、「人物たちが紡ぎ出していく強いエピソード性に基づいた主観的なストーリー」を描こうとしているのかもしれません。
彩色されていないモブの裏側でそびえ立つ都市。それらから特定の人物が浮き上がってくる描写は、「色」のイメージとあいまってとても鮮烈なのですが、「色」のイメージといえば、『空中ブランコ』なんかも特徴的な画面作りをしていましたよね。
こちらは『東京マグニチュード8.0』とはまるで対照的な画面で、あらぬ模様のついた建物を背景に、まるで紙芝居のコマのような平面的なモブの中で立体的に浮かび上がった主役たちを映し出している。主観的な重み付けをされているようですが、しかしこの奇抜な画面は決して「洗練」されてはいなかったように思うのです。独特の色彩感覚で色付けされた画面は、しかしその奇抜さゆえに”均等に”統一感を醸し出してしまって人物がまるで埋没しています。「洗練」というよりはどこか「野暮ったい」。
これら別の2作品と比較してみたところで、本作『デュラララ!!』の画面を再びみつめてみると、何か浮かび上がってはきませんでしょうか。
そう、背景がモブの人物を差し置いてせり出している。”不均衡に”、しかし「色」によって画面の中で注意をむけるべき対象を指し示してくるバランス感覚がとても洗練されていると強く感じました。
そしてこの「色」のイメージ、すなわち”カラー”というタームがせり出してきて画面に反映されるのがこのショットでした。
「最近はカラーギャングも減ったよ。去年辺りは目立つの多かったのだけど、埼玉と抗争やって何十人もパクられてさ~……」
ここで徐に正臣が話し始めるこの科白の「カラーギャング」の”カラー”を投影するかのように、画面に反映された「黄・青・赤」の三原色が僕はとても気になったのですよね。特にこれらの色は、カラフルに彩色された猥雑な池袋の風景から浮かび上がり、キーカラーとしてこのエピソードの中において効果的に用いられている。
例えば「黄」は帝人から視た正臣のカラー。
そして「青」は正臣がみせてくる新しい池袋の景色。
そして「赤」は、ストーリーの進行とともに注意を促す赤色。
これらの色が指し示すことの全景はまだ掴むことはできないのですが、例えば「赤」なんかは帝人が池袋の街並みに抱いていた危険のイメージを浮遊して、彼の無意識化で進行する出来事への注意も促しているように見て取れます。
例えば「←」と「→」向きに分散した赤色の矢印がまるでどこかを指し示しているかのようで、
今度は帝人の目線を誘導する形で画面の中に映り込み、
次のシーンではようやく向きが定まったとばかりに、画面の真ん中に収められた新しい人物への注意を向ける「→」「←」のような形で矢印が用いられている。
こうして「赤」と矢印の連携によって池袋の街並みがストーリーの文脈にそって立体的に浮かび上がり、先程のホロの後ろに映り込んでいたカットと合わせる形で、「ポスト」や「携帯電話」といった静物が、

それに意味深に高く宙を舞い上がる「自販機」もまた存在感を主張していましたよね。これらの配置された「静物」が一体どのように用いられていくのかも是非とも注目しておくべきではないでしょうか。
こうして繋がっていく「静物」と「色」のイメージのトリを飾るのが、「首なしライダー」だったことはいうまでもないでしょう。
圧倒的なまでの「黒」色と、「ヘルメット」という静物が融合した都市に蔓延る都市伝説という「虚構」。
これら帝人の視る池袋の裏側で次々と同時展開していく複数のストーリー。
そんな物語の断片を繋ぎあわせていくのが、他ならぬ「チャット」でありました。
別々に語られるすべての文脈を一本に繋ぎあわせていく形で、「チャット」の裏側の光景を目の当たりにしていく。そうした物語の始まりを予感させる第一話のエピソードでした。
最後にクローズアップされて画面の中に収まる「池袋」の全景もまた、
これから起こるであろう様々な出来事を予見させてくれますよね。こうした思わせぶりな見せ方に、ドキドキワクワクのとまらなかったお話でした。これらを元にどう展開していくのかが凄く楽しみ。
まとめ
目を引くのはやはりなんといってもOP。僕、あの赤いポスト投げちゃうの物凄く好きなんfですよね。都市のシンボルとして何気なく立っている”ポスト”を引っこ抜いて投げちゃうって、実はすごくエネルギッシュな都市への干渉行為なんじゃないかな。物理的に出来るかもだけど、やっちゃいけない行為ってとてもどきどきする。
そうした都市の路地裏で起こっているかもしれない「非日常」だけだと帝人の「池袋の街」への興味として強度が足りない。けれどそこからいかにもありえない”首なしライダー”という都市伝説へと接続されることで「非日常」から明確な「虚構」へと――都市の裏側にある虚構として――確立されるのではないかと思いました。その中を浮き上がった人々の繋がりが伝播する。
『デュラララ!!』における「チャット」という都市の裏側のネットワークから音声イメージで連鎖していく人の繋がりと、それらが可視化されて画面の中に収まった「池袋の街」。本文では都市と人の関わりから『東京マグニチュード8.0』や、『空中ブランコ』との描かれ方の差異に着目してみました。
都市の背景と人物を均等に画面に収めることで結果的に抽象的な人間ドラマへの普遍性を示した『東京マグニチュード8.0』と、人物の描き分けとカレンダーの描写から同時進行的な物語の時間軸が切り出された『空中ブランコ』でしたが、しかし『デュラララ!!』の画面はそれらより、より鋭利に描き分けがなされてる。
堂々と見てみろと言わんばかりに区別された背景と人物とモブの描き分けが、「チャット」という顔が見えないけれど確実に存在している密接な繋がりによって浮き上がった人物たちの繋がりに担保されていて、まるで特定の人物たちの間を経由して伝播していくかのような非常に洗練されたものとして見えてくるのですよね。
そして帝人たちと、路地裏にいる人々との関わりってまさしくOPアニメーションで描き出されている”投げる”というイメージに近いのではないでしょうか。繋がりであることに違いないのですが、しかし”繋がっている”といえるほど密接な関係性ではない彼らは、けれど行動→結果という因果関係で結ばれていく。これがいかにも成田先生の作品っぽさを感じる所以でもあるように思えました。
境目の曖昧な虚構へと吸い込まれていく感じと、しかしそれを目の当たりにしてひかれていくワクワク感がたまらないですよね。
小出しに挿入された路地裏への何かのイメージと、首なしライダー、そしてダラーズという某に期待感を煽られた第一話でした。いよいよ本格始動を迎えた『デュラララ!!』、その動向が楽しみです。
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