これはすごいな……自主制作映画の製作を通じて、映画という媒体の中に役者として演じるべき人物のパーソナリティが複合的に編み込まれていって、やがて作中作のキャラクターと実際の人物との境界線が曖昧になりながら混濁していくといったお話。この没頭感には凄まじいものがありました。しかしこれすらもまるで一本の「映画」の視聴体験のようで、読了後にスッと周囲の温度が下がっていくような少しゾッとする読後感だったかな。伏線などはいかにも”伏線”といったわざとらしさを感じるのですが、それすらも予定調和だったというほかない。綿密に編み込まれたプロットに驚く。新人賞から選りすぐりを経て、電撃ではなくあえてこの作品を押し出してきたということは、MW文庫の方向性をある意味示してくれた作品のようにも思いました。なるほど、こういった作品をこれから押し出していくつもりなのか。俄然、期待が膨らむ。
(第16回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞 受賞作)


















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